アスリートの運動自己調節能|フィジオ福岡 運動制御理論

良いアスリートと呼べる選手の条件の中で重要度が高い要素に、「自分自身の”良い状態”・”良い動き”を認知する知覚や感覚を備えているか」という要素があります。
要するに、「自分を知っている」かどうかということです。

人が高いパフォーマンスを発揮しているときというのは、往々にして身体の動きは無意識のうちに最適化され、その環境に対する最適な動作を反射的、かつ自動的に調節して発現させます。
「頭で考えてというよりカラダが反応する」という感じでしょう。
一般的に「動きの最適化」は、身体の構造や力をコントロールする「生体自己調整能」に関係が深く、私たちが姿勢を維持するときは自然と適切な姿勢になるように調整するような働きが常に起こっています。

選手自身が的確に自分の状態を感じ取れる能力が「動きの最適化」=「生体の自己調整能」には深く関与してくる。

この「自己調整能」は専門用語では「biomechanical chain」「kinematic chain」などと呼ばれており、力や動きを生み出す為に理想的なポジションにある筋肉と関節の相互関係によって成り立っており、自己調整がとれている状態では、構造的な摩擦や不具合が最小限に抑えられて関節構造やアライメントが正常になり、結果として筋肉の緊張と弛緩のバランスがとれた状態、無駄な力を使わずに効率良く動いたり、タイミング良く力発揮を行うことができる状態になると言われています。

アライメントの正常化や筋の至適長などは個人差があるものですし、我々トレーナーが評価するというよりは、運動する当事者が実際に身体で感じて「良い」「悪い」を判断するものでありますし、その評価を選手自身が的確に感じ取れる能力がこの「動きの最適化」=「生体の自己調整能」には深く関与してくるのだと思います。

運動の主体となる本人の内在体験である「いい感じに動ける」といった動的感覚のことを考えなくては、その運動が良いか悪いかの評価はできない。

このような「動きの最適化」ですが、身体運動を物理学的な物体運動として考え機械論的なメカニズムでその動作を理解すればいいわけですが、運動の主体となる本人の内在体験である「いい感じに動ける」といった動的感覚(動感)のことを考えなくては、その運動が良いか悪いかの評価はできないですし、その動きがその個人にとって「最適」かどうかは推し量れないものであると思います。
だからこそ、運動主体である本人の動感が実際の動きと照らし合わせてどうかということが評価の対象になっていきます。
そして、そのためには自分のカラダを知り、自分のカラダを感じ、実際の運動と感覚の中での運動がリンクしていることが重要になってきます。
自分の思い通りに楽に身体を動かせるという身体感覚を養うことは、アスリートに限らず全ての人が健康的に過ごす上で重要な要素になるのではないでしょうか。

最適な運動を再現性高く発現させるためにはカラダの安定が不可欠で、そのカラダの安定の基盤となる「軸」と「重心」をコントロールすることが重要。

そのような感覚を養うには、なんとなくカラダを漠然と認識するよりは、ポイントとして意識的にコントロールできるものを無意識でコントロールできるかどうかを評価することが重要になり、最適な運動を再現性高く発現させるためには、カラダの安定が不可欠でそのカラダの安定の基盤となる「軸」と「重心」をコントロールすることが重要になります。
正しい自分の軸・重心をコントロールできるからこそ、カラダが安定し、結果として動作の再現性が高くなる。
ここでいう安定は、ピタッと止まる安定というよりは、動作の安定です。
実際の動きの中で運動量が0になることはないですが、運動量がある中で動作を安定させながら遂行する、さながら「不安定動作を安定させながら行う」といったところでしょうか。
そのためには、その動作の中での「軸と重心」コントロールが重要な要素となっていきます。

自分の動きをコントロールする土台として、自分の「軸と重心」を知ること、その「軸と重心」が安定している感覚を養うこと、坐位、膝立ち、立位などいかなる姿勢の中でも、その姿勢、動作の中での自己の「軸と重心」を感じてコントロールする感覚を養うこと、その上で動作が安定しているという身体感覚は、機能的動作を構築し自動化を目指す上でとても重要なトレーニングとなると思います。
「自己を知る」ということが、まずは何よりも「自身の身体感覚を磨くこと」であるということが重要なのです。

 

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