肩甲上腕リズムと周囲筋の機能|フィジオ福岡 肩の運動を考える

「肩甲上腕リズム」について考えると、上腕骨挙上と肩甲骨上方回旋の割合は2:1です。肩甲骨の上方回旋の形態は屈曲と外転で異なることが報告されており、屈曲0-90度では、肩甲骨は肩鎖関節を中心に上方回旋し、90度以降、鎖骨の挙上と後退を伴いながら、肩甲骨を内転、上方回旋を行っています。外転では角度上昇とともに、鎖骨は胸鎖関節を支点として鎖骨遠位を挙上、後退し、肩甲骨は脊柱に引き寄せられながら上方回旋し、下降していました(肩甲上腕リズム)。

肩関節運動における肩甲上腕リズム

肩関節運動における肩甲上腕リズムは、鎖骨を含めた肩甲骨、上腕骨の協調運動(鎖骨肩甲上腕リズム)も重要になります。肩関節屈曲早期では肩鎖関節を支点とし、肩甲骨が脊柱から離れる方向(外転)に上方回旋していました。また、肩関節外転運動早期では肩甲骨は脊柱に近づきながら(肩甲骨の内転)、上方回旋し、屈曲早期では外転に比べて前鋸筋の活動が増加していました。肩甲骨を内転させる僧帽筋中部線維の筋活動は外転に比べて有意に低下しており、これらのことを踏まえ肩甲骨動態を考慮すると、屈曲早期では前鋸筋による肩甲骨の外転と上方回旋が主に行われていると考えられています。また、屈曲早期では、三角筋前部線維が主に活動し、僧帽筋下部線維の筋活動が外転より有意に増加し、上腕骨の挙上に伴い肩甲骨の翼状を制御(肩甲骨の固定)するために僧帽筋下部線維の筋活動が増加したと考えられています。

動作と肩甲骨周囲筋の機能

肩関節外転運動早期では肩甲骨は脊柱に近づきながら(肩甲骨の内転)、上方回旋していることが報告されており、前鋸筋活動を伴いながら上方回旋を行っていると考えられています。上腕骨を外転方向に挙上するために三角筋中部線維が前部線維よりも有意に増加しており、屈曲と違って肩甲骨の翼状を制御する必要が少ないため、僧帽筋下部線維の筋活動は少なかったと考えられています。外転90度以降、肩甲骨の下降が行われていた結果から考えると僧帽筋下部による作用が大きいと考えられ、前鋸筋は屈曲早期よりも筋活動は有意に低下していました。長胸神経麻痺による前鋸筋機能不全では、主に肩関節屈曲運動が外転より制限されます。この病態は肩関節早期の前鋸筋による肩甲骨の外転、上方回旋が障害され生じる可能性があります。

副神経麻痺による僧帽筋機能不全では主に外転が屈曲より制限され、この病態は外転早期で必要な僧帽筋中部線維に伴う肩甲骨の内転が障害され生じた可能性が高いです。このようにさまざまな肩関節疾患の病態解明に肩関節運動における肩甲骨周囲筋の機能を検討することが重要となります。

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