「柔軟性」と「モビリティ」 |フィジオ福岡 柔軟性とは

「わたしのカラダって硬いですか?」お客様とお話しているとよく出てくるフレーズです。では、硬いとは一体何を指しているのでしょうか?

筋伸張性(Extensibility)

いわゆる「カラダが硬い」=「柔軟性」がないことと考えるケースが多いかと思います。では「柔軟性」とは何でしょう?
一般的に「柔軟性」という言葉は、定義自体は非常に曖昧な部分が多いのですが、筋伸張性(Extensibility)とほぼ同じ意味で用いられることが多いかと思います。いわゆる筋肉がどれだけ伸びるかどうか。筋をゴムに例えるならば、よく伸びるゴムなのか、あまり伸びない硬いゴムなのか、といった感じです。また、筋伸張性の評価に関しては関節可動域によって評価することも多く、場合によっては関節可動性という要素も柔軟性には含まれているのだと思います。この場合、関節可動域制限が筋伸長制限によってもたらされる場合にのみだと思いますが、一般的な使われ方は上記のような使用法になっていて、細かく分割すると「柔軟性」には「筋伸長性」と「関節弛緩性」があって、筋が伸びるかどうかという視点と関節が制限なく動くか、動かないかという視点で考えることのほうが多いかと思います。

「動きの質的要素」こそがモビリティ

一方、近年では「柔軟性」の他に「モビリティ」という言葉がよく言われるようになってきました。この「モビリティ」という言葉。語源は「Move+Ability」、つまりは「Movement Ability」を省略したものの考えというようにいわれており、「Movement=動作」「Ability=能力」と考えた場合、「動作能力」というように解釈するのがいいかと思います。この「動作能力」というものを考えると、「柔軟性が高い」は単に筋がよく伸びる、関節がよく動くというように考えるように、「柔軟性」では個別の筋の伸張性、関節の弛緩性を示しているのに対し、「モビリティ」は筋伸張性や関節可動性だけでなく、全体としての動き、いわゆる筋膜や靭帯、関節包などの結合組織や皮膚の動態など全体としての要素を含み、かつ安定して動くという筋の固定性、収縮性、発火頻度や発火タイミングなどの機能性なども含めた要素を含んだ「動きの質的要素」のことを「モビリティ」と考えることができるのではないでしょうか?

「柔軟性が高い」=「モビリティが高い」ではない

単に柔らかい、「柔軟性が高い」だけでは「モビリティが高い」とはいえず、「動きの質」いわゆる「モビリティ」が高いか低いかで考える場合は、「柔軟性高く、かつその柔軟性を制御して動けているかどうか」という「動的視点」で評価するという違いがあるように思います。実際に「カラダが柔らかい」というのは大事な要素ですが、パフォーマンスを考える上では「柔らかいだけではダメ」なケースがほとんどです。言葉の綾ではありませんが、柔軟性を含んだ「モビリティ」が実際の動きの中で出るかどうかがパフォーマンスを考える上では重要なポイン

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