睡眠コンディショニング|フィジオ福岡 睡眠を科学する

週末になると、いつもより多く寝るという人も多いことでしょう。いわゆる「寝だめ」と表現されますが、寝だめというよりは、日々の睡眠不足を補っているとみるほうが適切でしょう。睡眠の出現や深さは、その直前までの覚醒の長さや、心身の疲労度に影響を受けています。これらを概念的に説明する言葉として、睡眠負債というものがあります。

睡眠負債を考える

覚醒中(日中)、心身が活動しているため、睡眠負債はどんどん増えていくことになります。睡眠をとらない時間だけ、負債を生んでいるという考えです。つまり、休日の長時間睡眠はこの返済にあたっているわけです。とはいえ、毎回の睡眠でその負債は返済されるわけですから、溜まってもいない負債を返済することはできませんし、プリペイドカードのようにあらかじめ払っておくこともできません。つまり、寝だめはできないのです。逆に、睡眠負債の形になって残った睡眠の不足分を、あとで返済することは可能です。徹夜したり、寝不足だったりした日の翌日には、誰でも時間が許すかぎり長く眠りたいと思うものです。睡眠は不足すれば、次の睡眠は深くなり、また長くなります。これは多くの哺乳類で起こる現象であり、睡眠の恒常性と呼ばれます。

しかし、この詳細なメカニズムは未だによく分かっていません。脳がどのようにして、睡眠の不足や充足を測っているのかが分かっていないのことです。ただ、睡眠負債のもととなる物質があり、それがそのメカニズムを説明できる可能性を持っています。覚醒時間が長くなれば、それだけ睡眠物質が蓄積し、睡眠による分解に、より長い時間が必要になるという考え方です。睡眠物質の候補として有力なのがアデノシンであるとされています。アデノシンは覚醒時にその濃度が高まり、睡眠中は減少します。また、アデノシンは覚醒を促すニューロン群を間接的に抑制するため、これらが相まってアデノシンが睡眠物質として有力だとされています。

ですが、最近では睡眠は脳全体ではなく、局所的にコントロールされているという可能性も議論されています。たとえば、言語活動を頻繁に行った日は言語野周辺がとくに早く深い睡眠に入るとされています。また感覚器官であるラットのヒゲの1本のみを繰り返し刺激すると、その部位の情報を処理する大脳皮質の領域が他の領域よりも深い睡眠に入るとされています。

睡眠不足は肥満にも影響?

睡眠が不足していると、理性や判断力を司っている前頭葉の活動が低下し、食べる意欲を司る脳領域の活動が高まることがわかっています。例えば、睡眠不足だと満腹感をもたらしてくれるホルモン「レプチン」の分泌を抑えることになり、食欲を刺激するホルモンである「グレリン」の分泌が活発になることが報告されています。また睡眠不足だと理性が鈍り、本来の人としての本能「高いカロリーをもったものへの欲求」が抑えられずに高カロリーを摂取してしまうことにもなるという報告もされています。この場合、結果として野菜や果物のなどの摂取は減り、高脂肪食や炭水化物が多い食習慣になってしまうということです。結果として睡眠不足は太りやすい体質、太りやすい身体を作っていくことになります。

では、最適な睡眠時間というのは何時間程度なのか?一般的には睡眠時間は7時間以上寝るのがいいと言われています。逆にいうと、7時間以下の睡眠時間だと様々な病気のリスクが高くなるからこのようなことが言われているのです。心疾患や代謝異常症、動脈硬化などのリスクはこの睡眠時間と非常に高い相関関係をもっていることが様々な研究で咆哮されています。これだけみても、ちゃんと寝なきゃという気になるはずです!

多少の犠牲は払っても、しっかりと睡眠時間は確保していきましょう!

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