足部アーチの重要性と足底弓蓋|フィジオ福岡 足部の科学

ヒトの足で、他の動物にはみられない最大の特徴が、アーチの形成です。ヒトの足のアートは、踵骨と第1中足骨からなる内側アーチ、踵骨と第5中足骨からなる外側アーチ、第1中足骨と第5中足骨からなる前側アーチ(横アーチ)の3つで構成されています。この3つのアーチからなる足底弓蓋のことを一般的に「土踏まず」と呼んでいます。

土踏まずの役割は、衝撃の吸収、足部の保護、放熱、あおり歩行の効率を高める、の4つがあります。中でも特に重要なのが衝撃を吸収するバネの役割で、足底の柔軟性が歩行の効率を高め、推進力を与えてくれます。また、平坦ではない道ではアーチが必要に応じて地面を掴み、斜面に応じて接地面が広くなるので安定性も得ることができます。内側アーチでは長腓骨筋、長母趾屈筋、母趾外転筋などが、外側アーチでは短腓骨筋、長腓骨、小趾外転筋などが、前側アーチでは母趾内転筋がそれぞれのアーチの形成に関与しています。土踏まずが未形成である扁平足の場合は、バネの働きがないので地面からの衝撃を十分に緩和することができず疲労がたまりやすくなり、中足骨の広がる開張足、さらには外反母趾になりやすくなります。

アーチ形成と歩行

土踏まずの大きさによる重心の違いをみた研究によると、土踏まずが未形成であるほど重心点は踵寄りになるとされています。二足直立姿勢で立っている際、重心は常に動揺しています。土踏まずがしっかり形成されていると重心が前にくるので安定しますが、アーチがないと重心が後ろにくるため動揺が大きくなります。土踏まずの形成はバランス能力にも大きな影響を与えいるといえます。

ヒトの歩行は、重心点が移動するあおり歩行であり、アーチが形成されることでこの歩行が可能となりますが、扁平足ではベタ足歩行になってしまいます。歩行の際の足の使い方を動物別にみてみると、ウシやウマのように蹄の先だけでカラダを支える蹄行、イヌやネコのように足趾の部分で支える趾行、クマやサルのように足裏全体接地する足底行などがあります。解剖学的にみると、どの動物も筋肉や骨、神経などの構成要素はあまり変わりませんが、足の使い方によって、それぞれの動物のカラダの動きが形づくられているといえます。ヒトも大きく分類すると足底行となりますが、土踏まずを活かしたあおり歩行がヒト独持の動きにつながっているのです。

足底弓蓋と適応能力

現代の人々は、いつも靴で足を保護し、平坦で硬い地面を歩いています。このため地形に対応する足部アーチの適応能力の必要性が減少し、その結果としてアーチの支持筋の萎縮を招きます。平坦な足部は進化の代償であり、人類学者の間では、人間の足はいずれただの断端になってしまうとさえ予測されています。この予測は、人間とサルとの比較により、足指は萎縮し、母指は対立運動ができないという事実から生まれているようです。この傾向は今でも進行していますが、現在はまだ人間は、裸足で砂浜や岩場を歩くことが出来ています。このことが特に足底弓蓋、つまり足部アーチにとって有益で、これが適合能力の回復の鍵となります。つまり、足底への要求の増加は、その適応能力の向上につながります。

足裏での不整地への適合

例えば、凹凸地形への適合では、足部が弓蓋のへこみの中に突出した地形を掴み込みます。坂道での適合では、地面が外側の傾斜しているとき、前足部の荷重面はより広がります。これは内・外側の中足骨間の距離が狭まることによって生じます。坂道に横に立ったとき、下方の足部は回内し、上方の足部は外返し、もしくは外反足となります。坂を登るとき、下方の足部は坂に対し垂直に内反凹足の肢位で強く地面に固定され、上方の足部は最大に屈曲し、坂に平行な肢位を取りながら地面に近づきます。反対に、坂を降りるときは、側部は最高の把握能力を発揮するために、内返しになります。このように、ちょうど手掌がそのアーチと空間上での向きを変化させることで把握能力をもつのと同様に足底は地面との最良の接触状態を得るため、可能な範囲で不整地への適合を高めています。

 

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