筋タンパクの同化と異化について|フィジオ福岡 同化と異化について考える

蛋白に限らず糖類・脂質などの生物の体を構成する有機物質を分解する作用のことを異化:カタボリズムと言います。その反対、合成する作用のことを同化:アナボリズムといいます。異化と同化を併せて代謝:メタボリズムと言います。異化も同化も生命に必要です。代謝することが生きていくことと同義であるといっても過言ではありません。

同化・異化のバランスは代謝疾患にもつながる。

異化には、分解する事によって物質からエネルギーを得る効果や、不要になって邪魔になった用済みの組織や細胞や物質を取り除く効果があります。同化には必要な組織を作ったり、エネルギーを貯蔵したり、器官や組織の機能を強化する意味があります。例えば運動をして筋が肥大する場合、負荷によって筋が一部壊れ(異化)その後に筋細胞の増殖(同化)があります。人間社会において建築業と解体業がどちらも社会に必要なのと同じです。

これら同化と異化がバランスよく成り立っている状態が正常なヒトの反応です。このバランスが崩れてしまう状態を代謝性疾患と呼びます。代謝性疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられます。もっとも多い代謝性疾患は糖尿病です。糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖です。糖尿病患者の血糖コントロール不良状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等の慢性合併症が発症、進展することになります。代謝性疾患を理解するにはまずそれぞれの代謝の流れを把握する必要があります。

筋力をつけるために同化と異化のバランスを知ろう!

筋タンパクにおけるタンパク質の同化と異化のパランスは、筋力の維持、余剰になったエネルギーの貯蔵・管理において重要な要素となります。骨格筋はヒトのタンパク質の50〜75%を保持する組織で、姿勢の保持や運動に必須なだけでなく、食餌より得られた栄養を筋タンパクとして合成、同化・貯蔵し、飢餓状態になると異化作用によりこれを供給しています。この同化・異化作用は、ホルモン、栄養物質、サイトカイン、物理的な張力によって制御されます。例えば、BCAAの摂取による低分子量Gタンパク質のひとつであるRhebの活性化は、細胞内シグナル伝達タンパクであるmTORなどを介してタンパク質の合成を促進させ、同化を亢進させます。

一方で、視床下部-下垂体系の制御を受けて副腎皮質から分泌されるストレス応答性のホルモンであるグルココルチコイドは、筋タンパクの合成の抑制と分解の亢進をもたらします。筋タンパクの分解によって生まれた遊離アミノ酸は筋線維においてTCA回路に利用されるほか、肝臓へ入り糖新生に使われます。グルココルチコイドを介した筋萎縮には、筋原性の病変を除けば、糖尿病、飢餓、低血糖症、敗血症などさまざまなものがあるとされています。骨格筋における同化と異化はさまざまな段階において互いに関連しあい、環境に応じて代謝の状態を制御しているものと考えられます。したがって栄養環境、栄養状態が良好であれば同化・貯蔵に傾き、不良であれば、分解・異化に傾くと考えることが出来ます。

これを制御するのが、先述のmTORとグルココルチコイド受容体になります。骨格筋においてこれらの物質はそれぞれ違う働きではあるものの、互いに影響しあっています。mTORが良好な栄養状態を感知しているときにはエネルギー源の効率的な備蓄に貢献する一方、栄養状態の悪化に対してはほかの組織における需要をまかなうのに十分なエネルギー源を迅速に供給するという働きを担っているのです。

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