4つの脂肪の正体|フィジオ福岡 体内の脂肪の正体

体脂肪には4つの種類があるのをご存知ですか?
この4つの体脂肪はその貯蔵場所や機能によって分類されています。

皮下脂肪と内臓脂肪

まずは皮下脂肪と内臓脂肪。
皆さんが考えるいわゆる脂肪というやつです。
皮下脂肪はその名の通り皮下に広がる脂肪組織のことをいいます。
指でつまめるような脂肪であり、主な働きとしてはエネルギー貯蔵のほか、体温を外に逃さない断熱材的な役割、あるいは衝撃を緩衝するクッション材のような機能を持っています。

一方で内臓脂肪は、お腹の内部で消化管を固定する腸間膜などの周囲に広がる脂肪組織になります。
ここには皮下脂肪では貯めきれなくなった体脂肪を蓄えています。内臓脂肪が蓄積していくと様々な疾病の原因になるのは有名な話です。

恐ろしい異所性脂肪

この他にも最近注目されているのが異所性脂肪。いわゆる肝臓に脂肪が蓄積したり、筋に脂肪がくっついてしまったり。
これらは皮下脂肪や内臓脂肪に貯めきれなくなった余剰エネルギーの貯蔵を本来そんな機能を持たないのにもかかわらず脂肪を蓄積してしまうことから、健康への害が懸念されています。

たとえば、骨格筋の細胞内中性脂肪含量(骨格筋の異所性脂肪蓄積)と血中遊離脂肪酸濃度がインスリン感受性(全身の糖取り込み)と相関するという報告があります。これは小児でも内臓脂肪型肥満が皮下脂肪型肥満に比べ、筋肉細胞内の脂肪蓄積と関与し、非酸化的糖利用低下と関連して耐糖能障害と関係すると発表されています。
以上を踏まえると、骨格筋における遊離脂肪酸の利用能は骨格筋の異所性脂肪蓄積と逆相関していることがわかり、インスリン感受性に強く関係していると考えられています。

また肝臓ではインスリンの調節下に、絶食時にはグリコーゲン分解、糖新生による糖放出がおこなわれており、摂食時には糖取り込みがおこなわれています。内臓脂肪あるいは食事由来の遊離脂肪酸が肝臓における脂肪合成の基質になるわけです。
ここで肝臓内の異所性脂肪の蓄積にともない、遊離脂肪酸が肝臓表面のインスリン受容体の数を直接的に減らす可能性があることが報告されています。インスリン受容体が減るということはインスリンの効き目が悪くなるということ。結局の所インスリン抵抗性が上がることと同じことになってしまいます。

このように異所性脂肪は糖尿病との相関が強いこともリスクの一つになります。

ちょっと特殊な脂肪細胞・褐色脂肪細胞

褐色脂肪細胞は肩甲間、腎周囲などに限局して存在する特殊な脂肪組織です。この脂肪細胞は非ふるえ熱産出を行い、寒冷時の体温維持に必須脂肪を燃やして熱として放出するため、褐色脂肪を活性化すると体脂肪が減少するという流れになります。この脂肪細胞の大きな特徴は白色脂肪細胞はエネルギーの貯蔵を行うのに対して、褐色脂肪組織はエネルギーの消費を行うということ。

これまで、ヒトの褐色脂肪細胞は新生児から成人への発達段階でほとんど消失すると認識されてきましたが、ここにきて成人の褐色脂肪細胞をどう活性化させるかというのは肥満の改善に向けた研究課題として認識されています。
そのうち褐色脂肪細胞を増やすような薬、サプリメントなどができあがるといよいよ「痩せ薬」のようなものが登場するかもですね。

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