外傷性や反復性といったものではなく、また肩関節の構成骨や肩甲帯筋に明らかな以上がないにも関わらず、肩関節に動揺性を認める不安定症を動揺性肩関節と言います。
若年者や女性、投球やスパイクなどのオーバーアーム動作を行うスポーツ選手などは肩関節に不安定性を示すことが多いですが、これは病的なものではなく、ほとんどが両側性で、発生機序としては、持ち上げ動作や上腕の牽引動作、スポーツ活動による使いすぎなど軽微な外力により、疼痛・だるさ・不安定感を訴え発症することがあります。
動揺性肩関節は、関節窩の形成不全・コラーゲンの代謝異常などの原因が考えられますが、明らかな原因が不明であり、突発性と言えます。
症状としては、動揺性は主に下方でありますが、前方・後方にも動揺性があることが多く、肩甲骨の外転・外旋力の低下を指摘されています。
無症状のものも多く、肩がだるい・肩が重い・運動時に疼痛があります。
重いものを持てない、腕が抜けるような感じがするなど、症状としてはあいまいです。
症状が類似する胸郭出口症候群や麻痺による関節弛緩との鑑別が必要です。
検査としては、サルカス徴候というものがあり、坐位または立位で、患者さんの上腕を下方に引きさげると、肩峰と上腕との間に間隙ができる徴候が出現します。
治療法としては、無症状なものは特に治療を必要としませんが、保存療法としては、筋力強化訓練を行います。