細胞とオートファジー

私たちの体は、40兆を越える数の細胞からできています。

生きるうえで欠かせない心臓の鼓動も、腸による栄養の吸収もそれぞれの臓器を構成する細胞の働きによるものです。

そのため、日々細胞の中ではエネルギーや材料など、働くために必要なものが作られています。

しかしその過程では、古くなったタンパク質などのゴミが必ず出てきてしまいます。

そんなゴミが細胞内にどんどんたまってしまうと、細胞の働きが悪くなり、ひいてはそれが健康を害することになります。

そうならないためにも、細胞内は掃除されなければなりませんが、そのシステムは大きく分けて2つあります。

1つは、タンパク質専用の分解酵素プロテアソームを用いるシステムです。

これはいらなくなったタンパク質にユビキチンという目印をつけ、これがついたタンパク質だけを狙って掃除します。

それに対して、ほとんどランダムに細胞内のものを食べることできれいにするのがオートファジーというシステムです。

オートファジー(autophagy)の字の通り、自分を食べるという働きです。

オートファジーでは、細胞内でつくられた特殊な膜が、直径0.001mmほどの範囲で取り囲んでいき、閉じた膜構造になります。

これがオートファゴソームといい、この膜に包み込まれたものは分解されたあとに、再利用されると考えられています。

オートファジーは普段からその働きがみられますが、とくに細胞が飢餓に直面したときに活発化します。

つまりその役割は掃除だけではなく、外から栄養が取れないときは自分自身を分解して材料を再利用する役割ももつわけです。

生物の一生のうちでは、細胞が栄養をとれない場面は数多くあります。

例えば、受精卵は胎盤ができ母体から栄養をもらえるようになるまでは、自分で成長のための材料を用意する必要があります。

タンパク質をアミノ酸に分解してそのアミノ酸を利用して別の種類のタンパク質が作られます。

実際に、オートファジーを怒らなくさせると、受精卵は正常に育たなくなると言われています。

細胞が飢餓状態におかれるとオートファジーが活発化されますが、エネルギーを得るためではなく、あくまでタンパク質合成の材料の保持であることを忘れてはいけません。

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