ハンドボール選手におけるアジリティ能の重要性 |フィジオ福岡 ハンドボールのトレーニング考察

ハンドボール選手のトレーニングを考えると、特にアジリティ能力はハンドボールの競技パフォーマンスを決定付ける重要な要素になると考えられます。
ハンドボール選手の動きは、いわゆる陸上競技のような直線的な動きのみではなく、試合中は様々な方向への動きが混在していることが特徴になるからです。
競技特性として、緩急のあるスピードの中での曲線走やバック走、また急激なストップ動作や方向転換動作が求められる種目であると言えます。

その中でも特に方向転換動作は相手選手との間に一瞬のギャップを作る際や、1対1での攻防において重要な動作になってきます。
実際に動きをみているとボールを持っている選手の動きも大事ですが、「Off The Ball Movement」、いわゆる「ボールを持っていない時の動き」が非常に重要なものになってくることがわかります。
トップクラスの選手の動きをみていると、当たり負けしないフィジカルに加え優れた方向転換動作を行って相手選手よりも素早く動くことができており、非常に重要な動作になってきます。
より高速化してきているゲームを支配するにはこの「Off The Ball Movement」の中で方向転換動作の優劣がゲームの勝敗を左右する一因になるとも推測され、ハンドボール選手のアジリティ能力の強化は必要不可欠なものであると考えることが出来ます。

これまでにアジリティ能力や方向転換動作に関する報告、主に方向転換スピードと体力的因子との関係についての研究報告がなされています。
例えばWilliams(2005)は方向転換スピードとスプリントスピードの間には相関関係があることを報告し、 Young(2002)は方向転換走とReactive strength(ドロップジャンプの跳躍高[cm]/ 接地時間[sec])の関係について報告しており、優れた方向転換スピードには「脚伸筋のストレッチ・ショートニング・サイクルの過程の効率が優れている必要がある」ことを報告しています。
塩川ら(1998)は数種類の方向転換走(鈍角走・直角走・鋭角走・直角後方走)と各種運動能力(リバウンドジャンプ・垂直跳び・反復横とび・脚伸展パワー)の関係について、Hori(2008)は方向転換スピードとハングクリーン1RM、フロントスクワット1RM、CMJの関係について報告しており、これらもまた身体能力のなかでも下肢のストレッチ・ショートニング・サイクル、いわゆるパワー発揮局面での動きが優れていればいるほど、方向転換のようなアジリティ能力も高くなるということを示唆しています。

このように考えると、アジリティ能力の向上に関しては、実際にアジリティドリルを行うだけではなく、下肢のSSC動作を強化するようなプライオメトリクスのようなトレーニングや基本的な筋力強化を促すストレングストレーニングを行うことで一定の強化を期待できることを示唆するものになり、トレーニング計画の中に上手に落としこむべき要素であることを示しています。

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