発達運動学にみる感覚統合|フィジオ福岡 アクティブタッチ

トレーニング、はたまた運動に関する話を考えるとき、そもそもなぜ運動することが大事なのかということを考えます。
もちろん代謝や健康のためというのが多いかとは思いますが、今回はヒトが成長するために「動」がいかに重要であるかということを考えてみます。

体性感覚の入力を得るために「動き」が重要である。

例えば、赤ちゃんががしきりに身体を動かし周辺環境にふれるのは、運動することによって自分に返ってくる感覚のダイナミックな変化をとらえ環境を認識するためといわれています。
つまり、物の形や表面の材質感の認知には物の表面を探ることによって得られる体性感覚の情報が必要であり、体性感覚の入力を得るために「動き」が重要であるということになります。
これが有名なギブソンのいう「アクティブタッチ」に当たるわけです。

「運動」の結果得られる自己の身体についての感覚は、「身体の認識」をゴールとした内側に向かった知覚である。

体性感覚の認識は様々な研究がなされており、例えばサルを用いた研究では、「第一次体性感覚野は前方からブロードマンの3b野、1野、2野からなっているが後方へいくにしたがって、興奮性や抑制性の受容野が複雑に統合され、物体を触ったときの立体的な形の認識に関わる」ことが知られています。
一方で、体性感覚は外部環境を認識するためだけでなく、身体を動かしたときのダイナミックな感覚情報が運動制御に必要なフィードバックされる重要な情報であるとともに、その情報こそが自己の身体感覚の元となると考えられます。
つまりそれは、「運動」の結果得られる自己の身体についての感覚は、「身体の認識」をゴールとした内側に向かった知覚であると考えることが出来ます。
ボディ・マッピングやボディスキーマといわれるような脳内にいるもう一人の自分を認識する、そのためには運動の結果得られる「体性感覚情報のフィードバック」が重要であるということがわかります。

「ミラーニューロン」は他者の行為の理解、他者の心の内部状態の推測、模倣、共感など、コミュニケーションに関わるニューロン。

脳は、こうした多種感覚統合を基にした身体感覚により自己身体のモデルを持ち行動を決定し表出しています。
しかしそれだけでなく、自分以外に意識を持って行動する他者もなんらかの形で表現しているといえるでしょう。
例えば、近年話題となっている「ミラーニューロン」は他者の動作を観察しときに反応し、また自分で同じ動作をしているときにも反応するニューロンです。
このニューロンは、他者の行為の理解、他者の心の内部状態の推測、模倣、共感など、コミュニケーションに関わるニューロンと考えられています。
他者の動作に視覚的に反応するということは、他者の身体の部位のどこが動いているのかという知覚、認識のメカニズムが必要であり、そのためにはミラーニューロンのような働きをもった神経が活動することで他者とのコミュニケーションを図り、それにより得た体性感覚情報により他者を理解することで、より自己を認識し自己の身体モデルをもって行動するようになっていくのです。

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