認知や知能の発達を複眼的に捉える|フィジオ福岡 ジュニア期トレーニングにみるピアジェの発達理論

運動機能を考える上で、身体・認知の「発達」は非常に重要な因子になります。
認知や知能の発達にみるピアジェの発達理論は、幼児から小児にかけての認知機能、感覚運動的知能の形成には非常に有名な理論です。
今回からこのスイスの心理学者であるピアジェが考えていた発達理論について改めてまとめてみようと思います。

ピアジェの発達理論では(1)ヒトの認知や知能の発達には段階の存在すること、(2)認知が感覚運動的知能から形式的操作の知能へと発達すること、を強調しています。

ピアジェの認知発達理論には相互に関係のある「段階従属的側面」と「段階独立的側面」があるとされています。後者は前者の基礎になる概念や用語という枠組みを論じています。すなわち「段階独立的側面」は(1)認知発達を規定する要因と(2)認知、が発達段階を踏んで系統的に進むものとしていて、「段階従属的側面」は誕生から成熟にいたる認知発達の段階を論じたものとなっています。

ピアジェの認知発達理論は「子どもが順序性のある一連の発達段階を辿ってその思考能力を発達させていく」という点において段階説を唱えていますが、一方では認知発達のすべての段階からみて重要な「段階独立説」を提唱しているのです。
ピアジェによると、「認知の発達は従来の発達理論でとりあげている古典的な要因では説明できない」としています。
その古典的要因とは(1)成熟(2)経験(3)社会的環境です。

ひとつ目の「成熟」とは生活体の生物学的構造の成長のことであって、特別の場合を除いて、環境的条件のいかんにかかわらず、多少の差はあっても発達のある側面は自動的に生じるものです。たしかに環境的要因は子どもの発達の程度に影響するとしても、身長のような器質的成長は一般的には成熟という生得的過程によるものであって、いわばこうした成 長は遺伝子にプログラムされているものになります。身長の成長のようには顕著ではないにしろ、成熟的変化は明らかに認知の発達と比較的関連があることはわかってきています。単細胞レベルのものでも脳の構造は発達を通してたえず変化していますが、確実に言えることは成熟過程がただその後の行動変容の可能性の条件にすぎず、こうした 行動変容を保証するものではないということを述べています。したがって、成熟が発達に寄与する事実は否定できないという肯定も否定もしない表現をしています。

また二つ目の「経験」という言葉をピアジェは「子どもの物理的環境との接触」に限定して用いています。
「経験」が発達に重要であることは、すくなくとも成熟の役割と同じように明らかです。ピアジェは、認知発達に関連して「経験」を得るための物理的環境との相互作用を2つの側面に分類しています。一つはたんに「物理的経験」といわれるもので、子どもが対象の物理的属性、あるいは空間におけるこれらの対象の関係について知識を獲得する手段となるものであるとしています。「物理的環境」は、「論理数学的経験」の機会を与えるとして、「この経験が認知発達に寄与すること」をピアジェは強調して述べています。
つまり、子どもはどういう行為をすれば同じ結果が得られ、どういう行為をすれば他の行為を可逆するかなどを学習するということです。さらにピアジェは、『それは単に「為すことによる学習」といった問題ではなく、むしろ「為すことについての学習」である』と述べています。こうした経験的行為が内化されて可逆的システムになるとき、このシステムがピアジェのいう「操作」に当たるのでしょう。

発達の第3の古典的要因は「社会的環境」。
つまり、こどもをとりまく文化全般、とくに両親はじめ子どもと相互交流のある他の人々によって伝達される文化のなかに認められるとしていますが、そのなかで顕 著に述べているものは、「言語的コミュニケーション」と「教育にかかわる相互作用」についてになります。「社会的環境」は 自分ではない誰か、つまりモデルの観察学習という形でもその影響を及ぼすことが考えられます。「成熟」や「経験」と同じように、「社会的環境」の重要性は環境との接触をたたれた野生児の例を考えただけでも明らかだと思いますが、「社会的環境は正常な発達に必要ではあっても、それだけでは正常な発達を保証するものではない」とピアジェは述べています。
「社会的環境」にさらに、「成熟」と「経験」が必要とピアジェはまとめています。

すべてこの3つの要因が必要であって、この3つの要因がすべて相互に作用し、それぞれの効果は他の2つの要因の効果によって大きく左右されるとされています。

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