高齢者における萎縮しやすい筋線維タイプ|フィジオ福岡 高齢者のトレーニング

高齢者において,どのような筋線維が特に顕著な減少を示すのかはトレーニング指導をするうえで非常に大事なことになります。

ある研究報告によると、大腿部にある外側広筋、上腕部にある上腕二頭筋、頸部にある甲状披裂筋を用いてバイオプシーやオートプシーが行われ、年齢による筋線維の変化が報告されています。

大腿部にある外側広筋においては、「男女とも筋萎縮は25歳ごろから始まり、高齢者の筋全体の大きさは若年者に比べて25~35%小さく筋萎縮に伴う脂肪や結合組織の増加も認められた」と報告されています。
また「タイプI筋線維とタイプII筋線維の数とサイズは両方とも減少していましたが、タイプII筋線維サイズの減少が顕著であった」とも報告されています。

タイプII筋線維サイズの減少理由として、タイプII筋線維の周りのサテライト細胞数の減少が考えられています。
タイプI筋線維ではなくタイプII筋線維の周りのサテライト細胞が減少するのは、高齢者の筋萎縮に特異的にみられるものであり、脊髄損傷による筋萎縮ではタイプI筋線維とタイプII筋線維の両方のサテライト細胞数の減少が認められていて、神経因性の萎縮と高齢化による筋萎縮では病態の機序は異なっていると言われています。

一方、上腕二頭筋においては「男女差が認められ、男性においてはタイプI筋線維とタイプII筋線維のサイズは両方とも40歳が最も大きくその後減少傾向を示しますが、女性において減少は認められなかった」という報告もあります。

また年齢別での研究では高齢者と若者の上腕二頭筋を比べた研究では、「高齢者は若年者に比べてタイプII筋線維のサイズは24%減少しましたが、タイプI筋線維のサイズは減少していない」という報告もあり、「筋線維数の減少は認められていない」とされています。

頚部にある声帯の中にある筋肉「甲状披裂筋」では、四肢の筋とは異なりタイプI筋線維数の減少がタイプII筋線維の減少よりも高度に認められています。
高齢者の甲状披裂筋では、タイプI筋線維のアポトーシスが認められていますがタイプII筋線維のアポトーシスは認められていません。
つまりこの甲状披裂筋においては、上記2つの筋とは異なりタイプI筋線維のほうが萎縮しやすいということになります。

以上のように、筋肉の部位によって減少する筋線維の種類が異なることが示されています。
主要な骨格筋である四肢においては、数も減少するがタイプII筋線維サイズの減少が著明でサテライト細胞の減少がその理由と考えられますが、これはすべての筋に共通して言えることではなく一部の筋肉ではタイプI筋線維数が減少する可能性もあるということが言えそうです。

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