1Gの重力と運動と骨の形成の関係|フィジオ福岡 高齢者のためのトレーニング

生物は地上にある限り、1Gという重力に曝されているます。
この重力が効果を最大に発揮するのは、地上で生物が行動する場合であり、水中では約1/6程度に減少すると言われています。
また、睡眠や休息状態にあるときはさらに重力の効果は減少し、寝たきり状態やギブスによる固定などいわゆる「不動化状態」が続く場合には、筋肉や骨格など運動にかかわる組織の主要部分に対する重力の効果は実質的にゼロに近くなると考えられます。

これすなわち、無重力に近い状況が作り出されていることです。

このような状態では、筋肉・骨ともに萎縮することになりますが、このことはbed rest の状態を強制的に続ける実験によっても確認されています。
また、宇宙飛行士の骨量が宇宙滞在中に減少し、帰還一定期間後にはほぼ回復することもよく知られている事実になります。

骨量は、骨吸収(骨破壊)と骨形成のバランスにより維持されていますが、メカニカルストレスの減少による骨萎縮(骨量減少)の原因は主として骨形成の抑制であることが明らかにされています。

一方、地上においてもメカニカルストレスを負荷すると骨量が増加することが良く知られており、この場合にも骨形成が刺激されることが確認されています。

このように、メカニカルストレスの持続的負荷が一定期間内に繰り返されることが骨の構造と機能の維持に必要になることははっきりしてきていますが、このメカニズムを説明する仮説として提唱されているのがメカノスタット説(mechanostattheory)です。
要は、生理的なメカニカルストレスの幅(physiological window)というものがあり、この範囲より低いメカニカルストレスに曝される場合には骨形成が相対的に減少してメカニカルストレスに見合ったところで定常状態に達し、逆により高いメカニカルストレスに曝された場合には骨形成が増加して高い骨量レベルで定常状態に達する、というふうにメカニカルストレスによる歪みを感じるセンサーが骨に存在するというように考えるのが、メカノスタット説です。

つまり、骨吸収と骨形成はカップルしているので新しい平衡状態に移行し得るわけということです。
この場合どちらの方向に移行するにもある閾値を越えることが必要となってきます。

たとえば、運動によって骨形成を刺激するには、やはり一定以上の運動負荷(いわゆる閾値)をかけないと意味が無いということにもなるのです。

「運動しているから大丈夫」ではなく、「どの強度で運動しているのか」というのが実は非常に大きなポイントになります。

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