身体図式と自己認知|フィジオ福岡 運動制御のための基礎理論

身体図式、いわゆる「Body schema」という概念は、ペンフィールドが証明した大脳皮質における体部位再現性であり、20世紀における脳神経科学上の大業績であるといわれています。
ペンフィールドが行ったこの研究は、大脳皮質に身体が正確にマップされていることを示したものでした。
しかし実はこれ以前に、英国の神経学者が「身体図式」という概念を提唱していたことがわかっています。
平衡感覚、体性感覚系、視覚、聴覚などの信号は、姿勢や上下肢の位置を時々刻々と脳に刻んでおり脳の中では身体が体表モデルと連携して「内的姿勢モデル」として構成されていきます。
特に筋骨格系の動的信号を伝える「固有感覚」が「身体図式」を構成する上でもっとも重要であることがわかっています。
もしも、この固有感覚情報が消失すると私たちは「自身の運動」を認知することが困難となってしまいます。
自分の身体が動いていることをレセプターからの固有感覚情報としてモニターしていることは、身体の主体が自分であることを認知する上で無くてはならないものになります。
したがって「身体図式」=「内的姿勢モデル」 の消失は、脳内の「自身のアイデンティティー」の消失につながるとも言えるでしょう。
固有感覚からの情報がないと、視覚のみが自身の身体を確認する唯一の手段となり、目で見ていないと自分の身体の動きを知る術がなくなってしまいます。
そして、視覚情報を用いたトレーニングによって、運動機能が回復したとしても、運動感覚による「身体図式」の変化が伴わないために、運動機能が回復したという実感や満足感が湧かない可能性も出てきます。
運動機能の回復ではなく、運動感覚の統合ができはじめて運動機能が戻ってきたと感じることになるということです。
「運動する」ことは「自分を知ること」であるといえるのは、運動と感覚が揃ってはじめて「自己認知」が可能になるという大前提があるからこその格言になるのです。

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