エネルギー制限と健康|フィジオ福岡 栄養科学

食事制限やエネルギー制限は人の健康にどのような影響をあたえるのでしょうか?
一般的には、エネルギー制限によって老化は抑制され寿命は伸びると推測されています。

しかしながら、単純なエネルギー制限を行うことは老化の抑制になるとしても、一方で筋肉の維持や健康の問題が生まれてくることになります。
またスポーツやトレーニングを行い、コンディショニングを行っている人にとっては、過剰なエネルギー制限は筋肉の減少や体調の悪化を招く危険性すらあります。
そう考えれば、筋肉の減少も老化と関連するため、本末転倒な結果となりかねなません。

確かに過剰なエネルギー摂取や多少のエネルギー制限はすべきだと考えられますが、過度には行うべきではなく、その適正範囲は性別、身長、体重、体組成、活動レベルで変わってくるものです。
例えば、加齢によって筋肉や骨密度は減少し、代謝率は低下、ホルモン分泌も低下していきます。
それを防ぐためにも中高年には若年者以上に筋肉作りを行う必要があるのが現実です。
また腹部に脂肪が蓄積すれば、アディポサイトカインの分泌によってインスリンの耐性や炎症を引き起こし、老化に伴う疾病のリスクが増加します。

運動指導を専門とするトレーナーだからこそ言いますが、筋肉を維持しながらエネルギー制限を行うためには、トレーニングもだがそれ以上に食事が重要となっていきます。
要するに必要な栄養、エネルギーを計算し、長期的に調整しながら適切なエネルギー制限に取り組まなければ効果はありません。

エネルギー摂取と寿命に関しては深い相関関係があると言われています。
有名な話では、ヒト試験ではまだだと思いますが、エネルギー制限をすると長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が発現することが知られています。

サーチュイン遺伝子は単純に健康的側面から寿命が伸びるだけでなく、これは遺伝子レベルでの作用がある、ということです。
つまり、「命の回数券」とも呼ばれるテロメアが短くなるのを防ぎ、結果、寿命が伸びることが期待されています。

ただし、過度な制限は健康寿命を縮めるとも言われています。
生物的な限界としての寿命は伸びることはあったとしても、筋量を落として脂肪が蓄積すれば病気のリスクも高まるでしょう。

タンパク質をしっかり確保し、炭水化物は適度に制限、脂質は良質のものを補給すること、そしてビタミンとミネラルも欠かさず摂ること。
このように当たり前のことを当たり前に続けることが一番重要だということを心得ておきましょう。

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