スポーツパフォーマンスの向上に特化した筋力トレーニングはあるか?|フィジオ福岡 トレーニング科学

お客様と話している中でもよく出るのですが、「スポーツの動作に準じたようなトレーニングをしたほうがいいのか」という問題があります。
この問題ですが、我々は「パワーアップを目指したストレングストレーニング」と「技術・スキル・いわゆるスポーツの特性にあわせた動作トレーニング」は分けて考えるべきだと考えています。

つまり、本質的にはパワーアップを目指したトレーニングを行うためには、しっかりと負荷量をかけられるストレングストレーニングを行う必要があり、大きな負荷をかけられない、あるいは負荷をかけるとケガの発生にもなりかねないような競技特性の動きのなかでのトレーニングは、パフォーマンスを上げるための優れたトレーニングには成り得ないということです。
ですので「スポーツパフォーマンスの向上に特化した筋力トレーニング」というのはないとお答えしています。
実際のところ、筋力トレーニングはあくまで「筋力向上」を目指すものであり、スポーツ動作とは分けて考える必要があるということです。

ですので、筋力トレーニングをスポーツ動作に似せて行うべきではないと考えます。
筋力トレーニングを動作に近づけて行っても、動きの方に重点が移ってしまい、トレーニングとしての強度が上がらず、結果としてパフォーマンスのためとしてはプレー動作には程遠い効果しか得られない中途半端なトレーニング内容になると考えています。

アスリートの場合、最初はコレクティブエクササイズで身体のエラーの修正、ケガへのリスク管理を行ったうえでBIG3を中心としたウエイトトレーニングを行い筋力強化、そのあとで動作パターンをつくる競技特性の練習というのがしかるべき流れかと思います。

ファンクショナルトレーニングに関しても、もちろん身体機能という側面は重視しますが、それはあくまで全体的な「身体機能」の向上を目指しています。
コレクティブな動き、生まれながらにもつ身体機能(ファンダメンタル・ムーブメント)を確認するということは、運動を行っていくうえでの可動性・安定性の獲得ができているかという評価項目で非常に重要な部分であり、これができていないとその後に行うストレングストレーニング、いわゆる筋力トレーニングを行うにあたり、最大限の効果を得るに至らない可能性を考えなくてはなりません。

そのために、まずはこれから負荷をかけてトレーニングを行ってもいい状態なのかを確認する上でも「コレクティブエクササイズ」を行い、その上で高強度の負荷をかけてストレングストレーニングによる筋発揮の強化を行っていくのが良いと考えています。

この筋力の強化こそが、最終的なパフォーマンスアップには必要不可欠な要素であり、筋力強化なくしてはパフォーマンスの向上は期待できないと思います。
適切な動きや機能を身につけるコレクティブエクササズとその後のストレングストレーニングを行うことで、より機能的でより強い身体を作ることが一番の機能強化にあたり、その「機能」=「ファンクション」を高めていくトレーニングを継続的に行っていくことこそがアスリートパフォーマンスの向上には求められます。

関連記事

  1. ベンチプレスの際の背中の反り

  2. タンパク合成装置としての筋細胞|フィジオ福岡 筋力トレーニング

  3. 固い道を走るとケガをしやすくなるのか

  4. 筋肉の収縮様式|フィジオ福岡 筋生理学

  5. SSC(Stretch-Shortening Cycle)と下肢ステイ…

  6. 両側性機能低下のメカニズム|フィジオ福岡 骨格筋の科学

閉じる