自転車競技における障害の発生と身体特性|フィジオ福岡 自転車競技に対するトレーニング&コンディショニング

自転車競技における障害発生状況はその練習量や路面状態などによって左右されると考えられています。
傷害の発生は練習環境と大きく関わっており、練習環境の見直しやその練習の強度などの選定が、傷害発生の軽減と予防につながる今後の重要な課題のひとつとされています。

自転車競技の中で最も多いとされる障害である腰痛は、 体幹の前屈同一姿勢の保持、筋力不足が原因であり自転車競技でもっとも一般的な障害です。

また自転車競技選手における尺骨神経障害はEckmaniiらにより報告されており、自転車競技の代表的な障害に挙げられるようになりました。
自転車選手における尺骨神経障害はサイクリングの盛んな欧米では古くから報告されており、これは長時間のハンドル把握により手の尺骨末梢神経が圧迫されることや路面の凸凹などの悪状況により前輪からハンドルを通じて手に震動が伝わることが発生の要因であるとされ、予防はハンドル上で手の位置を頻回に移動させること、グローブの着用、クッション入りのハンドルバーテープを巻くことが有効な手段とされています。

また膝関節の痛みを訴えるものは全体的に多く報告されており、特に膝蓋骨周囲の痛み(膝蓋軟骨軟化症の症状)は膝痛中の半数を占めるともいわれています。
この膝痛の原因としてオーバーユースとウォーミングアップ不足という報告もあります。
Hoytの報告においても、膝関節へのストレスの要因は頻回にわたるペダリングの他にウォーミングアップなしで激しく乗ったことを原因としてあげています。
このように障害発生者のほとんどがオーバーユースとウォーミングアップ不足など外因性の要因をあげていますが、その他にも下肢アライメント異常や筋力の不均衡などの内因性の要因についても評価が重要になります。
下肢アライメント異常と障害発生率との関係を報告した研究論文をみると、O脚と甲高足のもの全員が何らかの障害を経験していたと報告しています。
一般的にマラソンなどのランナーにとって鵞足炎はX脚によって、腸脛靱帯炎はO脚が発症の一因であるというのが有名ですが、自転車競技選手の鵞足部疼痛は膝外反位で下腿の内旋が必要とされるのでO脚であることが鵞足部に大きな負荷をかけるのが主な原因とされています。
よくみるケースでも、膝内側の痛み(鵞足炎の症状)はO脚にみられることが多いように思います。
このような膝痛の発生率は膝蓋骨蓋周囲、膝蓋靭帯部、膝内側、膝裏側において脚筋力が弱いケースによくみられ、その原因としては競技中における膝関節に過大な負荷が加わる競技特性によって、それに絶えられるだけの筋力がないことが障害を引き起こすとされています。
まずは基礎体力づくりとアライメント異常の修正を行うことが必要とされているのです。

また自転車競技における障害については、身体の一部分のオーバーユースに起因した障害が多いことからも、適切な筋力や可動性、アライメントの適正などが障害予防では重要になり、疲労蓄積の把握と予防、骨格・筋系の 発達や個人の運動能力にあわせたトレーニングメニュー、コレクティブ・エクササイズやストレングストレーニングを行っていくことが重要と考えられます。

フィジオ福岡では自転車競技(競輪、ロードレース)の選手のサポートも行っています。
お困りの際はぜひお問い合わせください。

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