血液と血管|フィジオ福岡 循環器の役割

受精卵が分裂をはじめてヒトを形づくるとき、受精後わずか21日目に、心臓はかすかな最初拍動をはじめます。そして、一時も休むことなく体中に血液を送り続けます。心臓のポンプは通常1分間に約70回、1日に10万回も拍動しています。

一生でおよそ30億回。

例えば、伸長160cm、体重50kgの人の場合、1回の拍動で70~80ml、1分間で7000~8000ℓもの血液を送り出しています。体内の血液の量は、約4ℓ(体重の13分の1ほど)なので、単純計算で、1日に体内を2000周していることになります。そもそも全身の血管をつなぎ合わせたらおよそ9万kmにも達します。これは、地球2週、東京大阪間を110往復できる距離と同じくらいです。

血液の機能

血液の成分は、多くが血漿と赤血球で、約1%が白血球と血小板です。血漿の90%は水分で、ほかに少量のタンパク質、ブドウ糖、脂肪、ナトリウム、カリウム、リン、ホルモンなどが含まれています。赤血球は鉄を主成分とするヘモグロビンという赤い色素をもち、血漿が運ぶ酸素の量のおよそ65倍の酸素を運ぶことができます。白血球はリンパ球、単球、顆粒球の3つに大別され、免疫機構を担っています。血小板は傷ついた血管をふさぐノリのような役割を果たしています。血液は、それぞれの臓器に酸素と栄養分を運んでは、また心臓に戻るというサイクルを繰り返しています。こうやって、不要になった二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓など適切な臓器に送り体外へ排出しています。そのほかに、体の機能を調節する信号であるホルモンを流したり、体温調節などの役割も果たしています。血液のおかげで体内は常に一定に保たれているのです。

血管壁の役割

血管壁には常時、血流に基づいたストレスや血圧による伸張力などのストレスが作用しています。血管壁の内皮細胞や平滑筋細胞はストレスの変化を敏感に察知し細胞応答を起こします。細胞の形態や機能が変化し、その際に、関連する遺伝子の発現も変化します。こうした細胞応答は血管の新生や成長や再構築だけでなく、組織の血液循環や血圧の調節、さらには血液凝固・線維素溶解現象や免疫・炎症反応にも深く関わっています。血管は単なる血液が流れるためのホースという役割だけではありません。血管細胞自ら多彩な機能を発揮し生体の恒常性の維持に重要な役割を果たしています。

例えば、血管内面を覆う内皮細胞は血液中のタンパクの透過を選択的に制御し、多くの平滑筋弛緩・収縮物質を産生して血管の緊張度の調節を行っています。また、高い抗血栓活性を発揮するとともに細胞外マトリックス分解酵素や増殖因子を放出して血管の構築にも深く関わっています。こうした血管細胞の機能はホルモン、サイトカインあるいは神経伝達物質などの化学的に刺激により調節を受けると考えられてきましたが、近年は血管に存在する血流や血圧などの機械的刺激によっても制御を受けることが明らかになってきました。血管細胞には血流や血圧に起因する機械的なストレスを感知し、その上方を細胞内部に伝達して細胞応答を引き起こす機能が備わっていると考えられます。適度な強さの機械的ストレスであれば、血管内皮細胞を刺激し、血管を拡張性、抗血栓性、抗動脈硬化性に向かわせるといいます。一方で、その刺激が弱い、あるいは強すぎると内皮機能障害を惹起し、血管細胞の細胞死や動脈硬化、動脈瘤、高血圧といった疾病の発症に繋がるとされています。

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