発達における姿勢コントロール|フィジオ福岡 運動発達と姿勢のコントロール

お客様の中には出産をして少し落ち着いてきたから運動を再開される方も多いです。そのなかでまだ乳児の段階からカートに乗ってお店に連れてこられるお子様も多いですが、その後3年ほどもたつと一緒にトレーニングするまでに成長していきます。その成長過程における動きを観察していると運動の発達はやはり姿勢と大きく関係していることが伺えます。

そこで本日は発達と姿勢ということについて少し考えてみました。

安定した姿勢と知覚学習

発達の概念の中には「安定した姿勢は世界についての新しい知識や行為を獲得する土台である」という概念が存在します。

例えば、おかあさんに抱っこされるなかで首が座っていることは、お母さんの腕のなかで周囲をキョロキョロと見回す機会を提供することになります。また立位の安定は乳児に高い視点をもたらし、それまでハイハイで見慣れた景色とは全く違う風景が目に映ることになる。座位の安定は乳児に両手の使用を許し、両手を使い左右の手で交互に受け渡すことでおもちゃの理解を促すことに繋がる。

安定した姿勢は目・手の関係、つまり知覚学習との関係と大きなつながりを持っているというわけです。

環境要因とのインタラクティブな関係性

姿勢は運動スキルの核となる構成要素とされています。姿勢コントロールがなければ多くの運動行為を遂行することは難しくなるでしょう。姿勢コントロールの発達は我々ヒトに多くの新しいスキルをもたらし、視ること、社会相互作用、手の行為そして移動の新しい可能性の扉を開いてくれるものとなります。

姿勢の発達の多くは知覚によるもの。なぜなら座ったり立ったりしている間でさえも身体は少しばかり動揺していて、身体を支持基底面のなかに保つためにはその動揺を感じ補正するための知覚が大きな鍵となる役割を果たしているからです。

姿勢コントロールはいわば発育していく身体とそれが扱う身体的環境、たとえば重力や空気、設置している支持面の性質などの環境要因とも深くインタラクティブな関係性を構築しています。

バリエーション豊かな方向特異的な姿勢調節

こどもを観察していると倒れそうで倒れない、かと思えばやっぱり倒れる、なんて光景が多いものです。後ろに倒れそうになるかと思ったら、急にこらえて行き過ぎて前に手をつくみたいに。

姿勢コントロールにおける最も基礎的なものは方向特異性と言われています。簡単に言えば、前に倒れそうであれば伸筋群が働き、後ろに倒れそうであれば屈筋群が働く。こういう動きは生後1ヶ月の定型発達児にも見られるものであり、生得的なものと考えられています。そして発達に伴い、乳児は試行錯誤を繰り返しバリエーション豊かな方向特異的な姿勢調節を見せ始めることになります。これが第1相の変動性(variability)としてその場その場の環境適応としての反応を試行錯誤していき、その状況に合わせて最も適した微細な姿勢コントロールを徐々に学習していく。

そう考えると、姿勢発達もさまざまなチャレンジのもと、失敗や成功の経験則からどう対応するべきかの最適解を模索しているということ。これは大人である我々にも必要な要素なのかも知れませんね。

 

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