腱の生理学的機能

腱の多様な力学的および生理学的特性について考えてみるといくつかの主要な機能が見えてきます。まずもっともわかりやすい1つの機能としては、筋を骨に結合する役割です。これが腱機能を考える上では絶対に外せないものになります。その上でいくつかの腱の機能がみえてきます。

筋の応力ーひずみ曲線の高コンプライアンス領域で生理学的に機能する。

例えば、腱のもつコンプライアンスのために、腱は衝撃がかかったときの長さの変化を吸収し、筋を低速度で伸張させてくれます。このことが、筋にかかる張力えお減少させ、筋の損傷を防いでいる可能性があるとされています。つまり、腱は筋の応力ーひずみ曲線の高コンプライアンス領域で生理学的に機能するといえます。また、この腱のコンプライアンスは無限ではなく、制限のあるものなので、腱は筋ー腱複合体の機能的な可動範囲を拡大させます。これにより、筋収縮中のサルコメアは短縮できることになりますし、受動張力を吸収するために伸長させることも可能となるのです。

伸張ー短縮サイクル

このような伸張ー短縮のサイクルにおいて、大きな力が腱に加わり、腱は伸張されます。これに引き続く筋の短縮は腱に蓄えられた弾性エネルギーの放出を伴います。これが筋の収縮のエネルギー効率を高めることにも寄与していきます。さらに、収縮後、腱が元に戻り、筋ー腱複合体の長さの一部を腱が受け持つことによって、筋線維収縮速度が低下し、このため筋の張力発揮能力を高く保つことができるとされています。

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