腓骨筋腱炎とは

腓骨筋腱炎は、長腓骨筋や短腓骨筋のオーバーユース障害です。この病態はしばしば足関節外側側副靭帯損傷と関連して生じるため、足関節外側不安定性の原因もしくは結果であることが推測されます。

長腓骨筋や短腓骨筋のオーバーユース

短腓骨筋腱は、足・足関節の内がえしで負荷がかかるため、回外位でのオーバーユース障害の場合が多いですが、長腓骨筋腱障害は通常異なった機序をとります。両腱とも同様に足部の底屈と外がえしに関与しますが、長腓骨筋腱は足部の底側を回り込んで第一中足部の基部に付着しています。したがって、第一足趾列に弛緩性があって過背屈が可能になっていると、荷重動作時に足部全体の回内が生じ、これの回内をコントロールする際に長腓骨筋腱にかかる負荷が炎症の原因となるわけです。

一般的な臨床的所見

腓骨筋腱炎で最も一般的な臨床的所見は、外果の後方から下方にかけての圧痛です。また、外果よりやや上方に圧痛がある場合や、第一中足骨や第5中足骨の基部に圧痛がある場合もあります。どちらの腱の炎症でも、自動的な底屈や外がえしを抵抗下に行うと痛みが生じます。受動的な外がえしと背屈による疼痛再現は、短腓骨筋腱炎で認められますが、ほぼ同様の所見が長腓骨筋腱炎でも認められます。

第一中足骨の受動的背屈による疼痛再現は、長腓骨筋腱炎の所見となります。また、筋力バランスが崩れている場合が多いため、拮抗筋のストレッチと筋力訓練も、特にハイアーチの場合には、重要です。第一足趾列の伸張的底屈訓練も有用となります。しかし、第一足趾列の関節弛緩がある場合には、過回内を動的にコントロールできるほどの筋力を獲得するのは困難であり、足底板や中足骨サポートが必要になると考えられます。

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