約60兆個もある細胞とは

人間は約60兆個の細胞からできています。生体を構成する最小単位であり、種々の細胞は形態と機能によって異なりますが、典型的な細胞を考えることは出来ます。細胞は半透明、半流動性の原形質とこれを包む細胞膜からなります。

細胞膜内外の電位差

多くの細胞には、細胞膜を境として内外に電位差があります。これは細胞膜を挟んで細胞内外のイオン組成が違うためであり、電荷をもつイオン分布の差が電位差をもたらします。細胞内の陽イオンにはKイオンが多く、細胞外の陽イオンにはNaイオンが多く存在しています。半透膜である細胞膜はイオンやタンパク等をほとんど通しませんが、細胞膜には電気化学的勾配にしたがって細胞内外のイオンの流出入を可能にさせるチャネルというタンパク質が存在します。

濃度勾配による電位勾配

ひとつのチャネルはすべてのイオンを通すわけではなく、KであればKイオンチャネル、NaであればNaイオンチャネルといった形で存在しています。通常、細胞膜上のチャネルは閉じていますが、Kイオンチャネルは例外的に開いており、このため、Kイオンは濃度の高い細胞内から濃度の薄い細胞外へと拡散されます。プラスの荷電をもつKイオンが細胞外へ出ると相対的に細胞内はマイナスに帯電します。磁石のN極とS極が引きあうように、マイナスの電位は陽イオンであるKイオンを引きつけるため、Kの細胞外の流出はやがて止まります。このように濃度勾配によってKイオンを細胞外に流出させる力と電位勾配によってKイオンを細胞内に引き止める力が釣り合ったところでKイオンの移動は止まります。

このときの細胞内の電位を静止電位と言い、神経細胞で−60mV、筋細胞で−90mVだと言われています。また、Naイオンも全く透過できないわけではなく、Clイオンも自由に動けるとされています。このように細胞には電位差があり、それはヒトも例外ではないということですね。

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