胎児期の運動発達
人間では、胎児期に自発運動が始まります。受胎後7週目に頭部および頸部の横紋筋への運動神経支配が生じ、さらに四肢や体幹の筋群の神経支配が完成します。
神経系の発生
胎生初期の神経系の発生は、急速に進む神経線維の形成となります。体節内、体節間、脳幹までを結ぶ求心性および遠心性の神経線維に進む神経線維の形成となります。8週目には、反射運動に必要な解剖学的構造が出来上がります。その結果、接触、圧迫、振動などの機械的刺激に対して、胎児は反射的な運動を示すようになります。それ以降、中枢神経系の構造および機能の成熟につれて、反射運動も多様化します。
9週目になると、自発運動が出現します。はじめに現れる運動は、呼吸、摂取、排泄などの自律機能として役立つものであり、その後に屈曲反射のような防御機能に関わるもの、さらに把握や表情、姿勢保持や立ち直りの機能が発達していきます。未熟な原始的運動は、はじめは集合運動の形をとって、全身に広がる傾向を示しますが、次第に四肢の部分に限局した運動となります。これらの身体運動の変化に対応して、中枢神経系では髄鞘形成の過程が進行しています。
運動の基本的要素は、早期に髄鞘化が起こる皮質下にあり。
中枢神経系の髄鞘化は、解剖学的には系統発生的に古い構造から始まり、一定の順序にしたがって起こります中枢神経系の構造の成熟は、脊髄から脳幹を含む上位中枢へと進みます。乳幼児期の運動が未熟であるのは上位中枢の髄鞘化が不完全であるためと想定されています。大脳の皮質下構造よりも、皮質の髄鞘化は遅れることが、原始反射の出現や抑制と関係づけられています。運動の基本的要素は、早期に髄鞘化が起こる皮質下にあり、皮質は神経系の発生という説が有力となっています。
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