体温と代謝

私たちの体温は通常37℃前後に一定に保たれています。これを内温性といいます。これに対し、爬虫類以下の動物は、体温が外気温によって変動する外温性です。私たち哺乳類において体温が一定に保たれているのは、体内で働いているさまざまな酵素の活性が37℃で最高になるからです。体温を一定に保つためには、産生される熱量と放散される熱量が釣り合っている必要があります。

安静状態における熱の発生源

安静状態における熱の発生源としては胸・腹部・内蔵が最も多く、全産生熱量の約55%がこれらの臓器に由来します。骨格筋20%、脳の15%がそれに続きます。骨格筋は日常生活程度の運動によってその熱産生は全産生熱量の60%程度を占めるようになります。また、特異動的作用という食後に熱産生が増加する現象があり、吸収された栄養素が肝臓において代謝されるため、肝臓での熱産生が増加します。この効果はタンパク質を摂取したあとに最も顕著になります。どれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なります。タンパク質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%で、通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。

体温は、健常者であっても常に一定にというわけではなく、生理的に変動しています。運動をすると、身体運動に伴って骨格筋における熱産生が増加するために体温は上昇します。体温は早期睡眠時に最低となり、覚醒によって上昇を始めて夕方に最高となり、夜になると降下します。時間生物学的視点からみると、体温が最高を示す夕方に運動をすることが運動効率が最も良いとされています。体温は1℃下がると基礎代謝が13〜15%低下すると言われています。

代謝と体温

基礎代謝は代謝全体の60%を担う代謝ですから、これが15%低下すると大変なものです。他にも熱産生には、骨格筋を震わせて生み出すふるえ熱産生と、主に褐色脂肪細胞がその働きを担う非ふるえ熱産生があります。また、甲状腺ホルモンや副腎髄質から分泌されるアドレナリンは、代謝を亢進させて熱産生を増加させます。たとえば痩せ薬などは、主に甲状腺機能を亢進させる薬だと言われています。そのため、代謝機能は大幅に亢進されますが、甲状腺機能亢進症になってしまう恐れも出てきます。体温と代謝は密接な関係を持っています。運動、食事、睡眠が重要になってきますね。

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