プリン体の正体と痛風

アデニンやグアニンはその構造にプリン環と呼ばれる化学構造を持っています。このようなプリン環を持った化合物の事を総じて「プリン体」と呼んでいます。このアデニンもグアニンも遺伝情報を担うDNAの構成物質のひとつで生物にとって不可欠な物質です。痛風の原因とされる「尿酸」もこのようなプリン環を構造にもつ化合物です。

ビールの宣伝に出てくる「尿酸」ですが、ビールに含まれるプリン体の量は、ほかの食品に比べ多いものではありません。例えば、鶏のもも肉のほうが多かったりもします。尿酸の生産過剰や排泄の低下により、血中の尿酸濃度が上昇すると高尿酸血症の原因となってしまい、結晶化した尿酸は関節などに蓄積し痛風が引き起こされる原因となります。

プリン体と痛風

先に述べたように、プリン体とはDNAを構成する物質なのです。このDNAの中にはアデニン、グアニン、シトシン、チミンという4種類の塩基が含まれています。この4種類の塩基のうち、アデニンとグアニンがプリン体です。なので、人間の身体はプリン体を多く含んでいるのです。というよりむしろプリン体で構成されているのです。また、DNAはほぼどの生き物にもあるので、肉も野菜も魚もキノコもプリン体だらけです。さらに、プリン体は体の中の化学反応で、尿酸に変わり、尿酸の針状結晶が痛風の原因になります。尿酸は水に溶けにくいですが、少しの尿酸なら尿に溶けて排出されます。多量の尿酸がプリン体から発生すると、血中内の尿酸値が上がり、針状の結晶となり足や指の骨付近に溜まります。これが原因で炎症が起きるのが痛風です。

痛風の予防策としては、「プリン体の摂取制限」、「尿をアルカリ化する食品の摂取」、「十分な水分摂取」、「アルコールの摂取制限」などが考えられます。プリン体とは尿酸の材料となる物質で、食べ物から摂取されるだけでなく、体内でもつくられています。実際のところ、人間の体内の尿酸のうち、食べた食品のプリン体から作られるものは20%に過ぎないといわれます。それでも、体内のプリン体(尿酸の材料)を増やさないためには、食べ物からの摂取も減らすよう心がける必要があります。食品100g当たりに、プリン体を200㎎以上含むものを高プリン食といい、動物の内臓や魚の干物、白子、乾物などがあります。

ビール中のプリン体は肉や野菜よりずっと少ない?

逆に、プリン体がごく少ない食品には、魚肉ソーセージやかまぼこ、焼ちくわなどの練り物や、ひじき、わかめなどの海草、カズノコ、などの魚卵があげられています。また、プリン体は水に溶けやすいため、ゆでる、煮るといった調理方法を選ぶとより効果的です。日本ではプリン体=酒類というイメージが強いかも知れませんが、アルコール飲料に関しては、含有量の多いビールでも3.3mg/100mlから16.6mg/100ml程度と他の食品に比べても格段高いものではないです。特に焼酎などの蒸留酒などに関しては1mg/100ml以下です。ビール中のプリン体は肉や野菜よりずっと少ないものです。

アルコール飲料は特に痛風との関わりでプリン体の含有量が注目されますが、プリン体の含有量に関わらずアルコール飲料の摂取は尿酸値を上昇させ、結果的に多くのプリン体を摂取したのと同等になる為、やはりアルコールの摂取は適度な量に抑えたほうがいいかと思います。

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