骨の構造と骨新生

人体には、頭部29個・胸部31個・脊柱26個・上肢64個・下肢62個の計206個の骨が存在し、互いに連結しながら骨格を形成しています。骨の構造は、外側の皮質骨と呼ばれる緻密で硬い骨と、内側の海面骨と呼ばれる網目状で脆い骨により形成されます。骨の形状、大きさはさまざまにあり、長骨・短骨・扁平骨・含気骨・不規則骨に分類されます。骨の役割は、体の支持・運動・臓器の保護・カルシウムの貯蔵と造血です。

骨は、人体の最も強固な支持機構であり、さまざまな器官の重量を支え、立位や座位などの身体の姿勢を支持しています。また、筋の働きにより運動が生じる際には骨の連結部分が支点・力点・作用点として運動に貢献します。また、脳と頭蓋骨や心臓・肺・胸郭のように、柔らかい臓器を外力から保護する役割を担っています。さらには、身体の動きに貢献する栄養素であるカルシウムの約99%は骨に貯蔵されていて、必要に応じて血液中や細胞内に溶け出す仕組みになっています。そして、骨の中心部にある骨髄には造血組織があり、赤血球や白血球・血小板などを生成しています。

骨のメカノスタット

正常な骨は、古くなった骨の破片と、新しい骨の形成を常に繰り返しながら、骨の強度を保っています。この骨の新陳代謝をリモデリングと呼び、骨芽細胞と破骨細胞の働きによって行われています。骨折した骨が治癒するのもリモデリングの能力が大きく関わっています。骨が機械的負荷にどのように反応するかについては、現在でも十分に解明されていないのが現状です。ですが、これまでの研究により、これらの反応が「メカノスタット」によりコントロールされていることが示唆されています。メカノスタットとは、骨の構造を調節することにより、骨のひずみを至適レベルに維持する働きのことをさします。骨に機械的負荷が加わることにより生じる骨のひずみは、細胞の信号に変換されると考えられています。

実は骨細胞は、ひずみの感知と信号の伝達を行う細胞であると考えられています。そして、細胞の信号は局所におけるひずみのの至適レベルと比較されるといわれています。つまり、この信号がひずみの至適レベル域内であれば、順応は起こらず、モデリングあるいはリモデリングが続くことになりますが、ひずみが至適域を超えるか逆に下回る場合には、オーバーユースあるいは廃用といった具合に状態が感知され、ついで認知されることになります。その結果として、認知されたひずみは、骨のひずみを至適レベル内に戻すように再調整するため、正味の骨の増加あるいは減少を伴う適切な反応がおこるものであると考えられています。

骨の量と構造を維持・調節する因子

骨の量と構造を維持、調節する因子の中でも、運動や荷重等による局所への刺激が最も影響が大きく、これらの運動刺激により、骨は強くなります。また、その刺激に対して力の作用する部位、方向に沿って強くなります。下腿の骨を強くするためには、骨の長軸方向に作用する圧縮力が有効で、クローズドキネティックチェーンを用いた運動がいいとされています。一般的には運動刺激によって骨は強くなりますが、女子長距離ランナーなどにみられる運動誘発性無月経の選手は、女性ホルモン低下等の影響で骨量は低下し、疲労骨折の原因になることがあります。

運動種目としては、クローズドキネティックチェーンを用いた運動で骨の長軸に圧縮力が加わるスクワット、デッドリフト、クリーンのトレーニングがいいとされています。トレーニング経験の浅い方は体重を利用したスクワットやプッシュアップ等の軽い負荷から始めます。ランニング等でも骨量は増えますが、これは有酸素効果というよりもランニングの着地刺激による効果と考えられます。運動不足の高齢者の場合は早足の散歩や膝をついてのプッシュアップでも十分に効果があります。骨増強運動は一人でも行えるものですが、整形外科的な骨格の疾患のあるかたは十分に注意し、医師との相談をした上で行いましょう。

 

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