メンデルの法則とDNA

遺伝に法則性があることを発見したのはオーストラリアの修道士グレゴール・メンデルです。「メンデルの法則」は有名な法則です。丸い種子はAA,しわの種子はaaなどのようにおのおの二つずつの遺伝因子(遺伝子)をもっているとします。それらを交配すると、1代目はAaとなります。このときA因子が優性であるなら、Aaの形質はすべてAつまり「丸い種子」としてあらわれます。さらに、1代目どうしを交配すると、AA, Aa, aA, aa の4通りの組み合わせができます。AA, Aa, aA の形質はAとしてあらわれ、aa の形質だけが a としてあらわれるため、2代目の種子は丸いものとしわのものの数が3対1になります。

メンデルの法則に従う遺伝

ヒトの姿形においても、基本的にはメンデルの法則に従う遺伝があります。たとえば、一重まぶたか二重まぶたかといったものです。二重まぶたは、一重まぶたに対して、優性だと考えられているので、一重まぶたの因子を2つ持つ父親と二重まぶたの因子を2つ持つ母親からの子は必ず、二重まぶたになります。つまり「目もとは母親似」となります。

一方で、メンデル法則に従わない遺伝も多いです。伸長の遺伝はまさにそうです。伸長の遺伝には、いくつかの遺伝子が関与する「多因子遺伝」とよばれるもので、それぞれの遺伝がどのように発現するか、その組み合わせによって伸長の高さがかわってきます。

遺伝といえば鍵は「DNA」

遺伝といえば鍵は「DNA」。DNAはデオキシリボースという糖とリン酸が交互につながった高分子です。それぞれのデオキシリボースには、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)のうちの一つの塩基が結合しています。デオキシリボースとリン酸と塩基からなる単位をヌクレオチドといいます。

DNAは二重らせん構造をなし、真核細胞では核の中に規則正しく折りたたまれて存在しています。たとえばヒトでは、DNAは長さ2mにも達し、そのままでは核の中には収まりきれません。そこでDNAはヒストンをはじめとするクロマチンタンパク質と複合体を形成して存在しています。ヒストンを芯のようにしてその周りに巻きつき、ヌクレオソームという繰り返しの構造を形成します。ヌクレオソームは密集して線維を形成し、さらに線維はループ状の構造をとり、規則正しく折りたたまれて染色体として核の中に収容されています。生き物の形や生命維持、外部からの刺激に対する反応などに関する基本情報は、DNAの塩基配列に記載されています。

「転写」と「複製」

DNAの役割は「転写」と「複製」です。DNAに記載された情報は、必要に応じて、遺伝子の単位ごとにmRNAに変換されます。これが転写で、このmRNA上の3つの連続した塩基配列(コドン)に対応するアミノ酸が次々と繋がって形質発現の直接の物質であるタンパク質が合成されます。この過程は、翻訳といわれます。複製とは、二重らせんが解かれ、それぞれの鎖状の塩基配列に相補的な塩基配列をもった鎖がもう1本つくられる過程です。何らかの原因でDNAの一部に変異が生じた場合でも、二重らせんの相補性は有効に働きます。変異を起こした部分を削りとって残った鎖の塩基配列にもとづき修復が行われます。

 

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