知覚と運動

知覚と運動とは同時進行で実行されています。
どちらか先で、どちらがあとに起こるというものではありません。
動くためには知覚しなければなりませんし、知覚するためには動かなければなりません。
つまり両者は表裏一体の関係にあり、身体機能を支えるシステムとして働いています。

知覚と運動を1つのシステムとして捉える。

しかしこれらは分けて考えられる傾向にあります。
例えば、神経学的には運動をつかさどる神経の下行性経路と、感覚をつかさどる上行性経路を分け、そのどこに病変が起こればどのような障害が起こるのかという診断学的な考え方をするのが一般的です。
このため、障害という点においても運動障害と感覚障害と分けて考えられています。


しかし、知覚と運動を1つのシステムととらえ、両者がその関係性に破綻をきたしたため、つまり認知過程に異常が起こったのだと考えると、障害のとらえ方はかなり異なってきます。
例えば、上肢の機能で考えてみると、上肢の機能は、対象物に対する到達、構え、操作という構成要素からなります。
対象物に到達するにはまず、その位置に応じて肩関節で方向性が、肘関節で奥行きが決定されます。
手が対象物に近づくと、対象物の形状や大きさに応じて前腕、手関節、手指の角度が事前に決定されます。
そして対象物に接触した直後には、その特性に応じて手指でそれをつかみ、またはつまみ、目的に応じてそれを移動するといった操作を行います。

体性感覚情報と視覚情報が一致している必要がある。

到達動作で要求されるのは、主として肩と肘関節の運動覚情報です。
構え動作では、前腕、手関節、手指の運動覚情報が必要となります。
操作では手指や手掌の触覚・圧覚、さらにより近位の関節の筋感覚の情報が必要となります。
それらの情報なしには適切な上肢の運動は達成できません。
さらに重要なのは、そのような体性感覚情報と視覚情報が一致している必要があることです。
筋力や関節可動性は十分機能しているにも関わらず、目で見たコップの大きさに応じた手の開きができないといったような問題は、これが原因になることがあります。

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