反復性運動障害を予防する

可動関節は、広範囲の運動を可能にしています。しかし、人体は1日中何度も何度も繰り返される特定の運動のために可動関節は設計されているわけではないです。そのため、同じ運動を長い時間繰り返し続けると、その運動に関わる関節に大きな負荷をかけることになります。さらに、その関節に付属した、関節包や靭帯、滑膜法、筋肉、腱、神経に対しても同じことがいえます。この機械的な負荷を繰り返す行為は、反復性運動障害を引き起こすことなります。

反復性運動障害

反復性運動障害は累積損傷疾患の一種で、軟部組織の傷害が進行することを特徴とした病気にあたります。反復性運動障害は、運動選手がよく経験する、使いすぎ症候群(オーバーユース)と多くの点で共通しています。テニス選手が上腕骨上顆炎にかかる可能性があるように、仕事で肘の屈曲と伸展運動を繰り返す建設作業や、一日中何時間もパソコンのマウスを使う会社員がこのテニス肘と同じ使い過ぎ症候群(オーバーユース)にかかることが多いです。しかし、繰り返し運動だけが反復性運動障害を引き起こすわけではありません。

関節に余分な力がかかるような悪い姿勢や生物力学上悪い形と反復運動が結合した時は、さらに危険度が増加します。重い物体を、引き寄せたり、持ち上げたりするときのように、運動しながら力を加えるような場合にも関節への負荷が増大します。

最も危険度の高い関節は、最も弱い関節になります。手首、背、肘、肩、頚などの関節は反復性運動障害を起こしやすい部分でもあります。本来、反復性運動障害は、長時間かけてゆっくり進行するものです。最初は、関節に軽いものから中程度のものまでの不快感や筋の疲労、しびれとうずき、とくに夜間に感じることで始まり、傷害が進んだ状態になると、筋の衰弱、神経障害、関節可動域の制限が症状になります。幸い、この疾患は、進行が遅いため、早い段階での治療が望まれます。

関節の特性や筋の特性を理解する

運動は、脳からの指令によって筋肉が収縮することによって骨が動かされ、関節の角度を変え起こるものです。屈伸運動や身体をひねる動きを行ったときに関節が最大限動く範囲を可動域といいます。身体の様々な関節は、構造によってそれぞれに標準的な可動域があります。膝関節のように動きの限られた関節もあれば、肩関節や股関節のように多方面に動く関節もあります。また自分の力で動かせる範囲と、他から力を加えられて動く範囲があります。

可動域は関節の構造と筋肉の柔軟性によって影響され、筋肉の柔軟性が低かったり、筋の疲労や関節の損傷がある場合は、可動域が制限されます。可動域に左右差があったり、近い関節と比べて可動域が小さい場合は、可動域が大きい関節に負担が集中し、ケガしてしまうことがあるので注意が必要です。また、関節の動く範囲の中でも、角度によって発揮できる筋力が異なります。関節をある程度屈曲させた状態が最も筋力を発揮しやすく、そこから離れれば筋力は低下します。球技など相手と競うスポーツの場面では常に関節がベストな角度を保てるわけではありません。そのため、筋力トレーニングを行う際には関節の角度を意識して、最大筋力が発揮できる角度だけではなく、他の角度でも行うことも大切になります。

 

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