コアの筋構造とスタビリティ

コアスタビリティとは「運動連鎖の中で四肢末端に最適な力と動きの産生、伝達、制御を可能とする骨盤ー体幹の位置と動きを制御する能力」と考えることができ、身体の内的コントロールと重力に対する外的コントロールの関係を常に最適化できる骨盤ー体幹の能力であるとも考えることができます。

このコアスタビリティの考え方を念頭に置き、障害を発生させないための身体つくりの中で重要なコンセプトになるのが、①「姿勢」「動作」「筋活動」の最適化、②至適な負荷強度、③個別性です。トレーニングのプログラムを考える際には、対象者が有する機能性(可動性や安定性)を把握してエクササイズの種目と強度を踏まえたトレーニングプログラムを立案する必要性があります。

「姿勢」「動作」「筋活動」の相互間で生じている異常や非効率性

「姿勢」「動作」「筋活動」の相互間で生じている異常や非効率性というものは、さまざまな要素として身体活動にエラーをもたらす事が想定できるため、まずこの部分の正常化を目指すことが重要になるといわれています。その上で、脊柱の可動性、骨盤ー肩甲帯などの十分な可動性が得られているということが1つの指標として重要になり、またその上で四肢の挙動に対して、さまざま起こりうるカップリングモーションに影響はされつつも体幹部のアライメントが大きく崩されないことが求められていきます。これができるようになることで、姿勢や動きの中での関節への局所的な負担がない状態、いわゆる内的コントロールができている状態をつくることが可能になると考えられています。

腰部周囲の高い筋機能が求められる

スポーツにおける腰痛は性別・年代を問わず、あらゆる種目の競技者に頻発する障害です。そのなかでも、筋・筋膜性腰痛などの器質的および神経学的所見を認めない腰痛の多くは、脊柱、特に腰椎のアライメント不良が症状の出現に関与していると考えられています。解剖学的に考えてみると、脊柱は胸郭と骨盤帯を連結しており、身体を支える上で極めて重要な作用を有しています。しかしながら、脊柱の骨および靱帯の構造は脆弱であり、脊柱自体が耐えうる負荷量は胸椎部で約20~30N、腰椎部では約80~90N と報告されており、静的構造体のみでは身体を支えることができないとも言われています。

脊柱が有する屈曲伸展、側屈、回旋の複合的な運動を安定化させるためには、腰部周囲の高い筋機能が求められることになります。腰部の前面および外側面には腹直筋、内・外腹斜筋、腹横筋などの腹筋群があり、これらは総称して「コア」と呼ばれています。コアは、筋収縮により「腹腔内圧」を高める機能を有していて、この腹腔内圧の上昇が脊柱の安定性に寄与しています。つまり、コアの機能が保たれていれば、体幹が安定し骨盤以下の下肢へと力が伝わりやすくなるだけでなく、腰痛も軽減させることができると考えられています。したがって、スポーツ現場では腰痛の症状を有するスポーツ選手に対して、安静にするのではなくコアをトレーニングターゲットとしたプログラムが提供される必要が出てきます。

腹圧の調節

コアの中でも腹横筋と内腹斜筋を解剖学的に観察すると、腹横筋は胸腰筋膜を介した腰椎から起こり、前方で対側の腹横筋や内腹斜筋に付着しています。また腹横筋の筋線維は水平方向に走っており、収縮により胸腰筋膜の緊張が高まり腹囲が減少すると共に腹圧が高まることが知られています。つまり構造的に見ても、腹横筋は深層に位置する腹筋群の中でも最も腹部および脊柱の剛性を高める働きを担っているものと考えられます一方で内腹斜筋は、腸骨稜や鼠径靱帯から肋骨下縁に走行するため、体幹の同側回旋や側屈作用を有する筋になります。特に下部線維では腹横筋と連続性を持つ部分があることや、腹横筋と走行が類似していることからも、内腹斜筋も腹圧の調節に関与していると考えられます。

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