子どもの筋量と健康な骨の発育

先日、イギリスの研究チームが「子どもの筋量が多いことが、健康な骨の発育に強く関連すること」を発表しました。これまでの研究では、小児を対象とした研究で身体組成と出生後早期の成長とが骨のミネラル密度に関連することが知られていましたが、また新しい発見となりました。

幼少期の筋肉や骨の発育には身体活動が重要。

この研究チームは、200人の子どもの出生後と6-7歳時に、骨のミネラル密度、脛骨の大きさや体組成を測定して評価を行い、その結果、6-7歳の子どもの筋量が多いことは、骨の発育に強く関係があり、体脂肪量と骨の発達との間には関係がないことを明らかにしました。また研究チームは、「骨の強度や大きさは、長期的な骨粗しょう症や骨折の重要な要因である。骨量を最も高くできる時期の骨量を10%高めることは、骨粗しょう症の発症を13年遅らせるだろう」と述べると同時に、幼少期の筋肉や骨の発育には、身体活動が重要であることを指摘しています。さらに、思春期前の6-7歳の子どもでも、除脂肪体重の変化と骨の発達は男性よりも女性の方がより強く関係性があると報告しています。

一昔前は、幼少期に筋肉をつけすぎると身長が伸びなくなるなどと、言われていたが、実際のところ、この時期にどれだけ活動性を高めていけるかというのが、筋の発達や骨の発達に大きな相関を持っているものが示唆されたかたちとなったわけですね。

リモデリングとモデリング

子どもに限ったことではありませんが、日常生活レベルの骨の歪みによって微小骨折が発生し、この損傷治癒機転として損傷部位の吸収、再形成がおこります。これを「リモデリング」といいます。実は骨量の増減はありません。破骨細胞が既存の骨基質を破壊、吸収し、これに引き続き骨芽細胞が破骨細胞によって失われた骨と全く同じ量の骨を形成し新鮮化していきます。

一般的に日常生活よりも大きな荷重が骨に加わると、リモデリングだけでなく新たに骨が添加されます。荷重の少ない対側では骨は吸収されますが、全体として骨量は増加します。そして荷重のかかる部分に骨が新たに形成され、構造が歪みに適応していきます。これを「モデリング」といいます。度を超えて歪みの頻度が多くなると骨形成が追いつかなくなり、疲労骨折を起こし、大きな歪みが一度に加わると骨折します。日常生活よりも少ない歪みでは、破骨細胞により骨は破壊、吸収され、再形成されずに弱化していきます。特に筋収縮の減少よりも、起立、歩行の欠如などの荷重による圧縮ストレスの減少のほうが影響は大きくなります。

四肢体幹ともに刺激が加わるように複数のエクササイズの種目を選択すべき。

原則としては、刺激が加わったほうが骨は強くなります。下肢への運動刺激では下肢の骨は強くなりますが、上肢の骨への影響は少なくなります。たとえばトレーニング種目の選び方としては、四肢体幹ともに刺激が加わるように複数のエクササイズの種目を選択することで骨の増強は認められると思われます。適度に過剰な刺激に対して骨は適応し強度を増していくからです。適応を無視したトレーニングは疲労骨折などを引き起こすので注意が必要になりますのでご注意を。

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