作業能率的・美学的視点から考える姿勢

姿勢の良し悪しは、どのような視点でみるのかによって異なります。作業能率と美学的な視点からもみていきます。

作業能率的な視点でみると、効率がよいことが重要です。作業姿勢は、作業を遂行しているときの身体各部の相対的な位置関係および空間を占めている位置になります。姿勢は静的でありますが、作業能率をみるときには、同時に動的要素も考慮しなければなりません。姿勢によっては、作業を遂行するときの空間的範囲が規制されます。これを作業空間といいます。作業効率を高めるには、実際の作業場面において動作分析や時間の分析を行い、その作業にもっとも適した姿勢や動作を求めます。

美的にみて美しいかどうか

美学的には美的にみて美しいことが重要です。人間の姿勢や運動の美しさを考えるときの判断基準は、客観的な視点だけでなく、芸術的視点からも検討されます。人間の運動の形式美を構成する要素として、つり合い、均整、プロポーション、律動、躍動感などがあります。つり合いと均整は、バランスと対称性を意味します。力学的にバランスのとれた姿勢は、安定を表す美として視覚に働きかけます。

片足立ちの姿勢よりも基本的立位姿勢、さらに両足を軽く開いた立位姿勢のほうが形式的には安定感があります。対称性は、中央の基準線に対して、両側に同一物をおいた状態のことをいいます。人体は正中矢状面に対して左右対称的な構造となっています。プロポーションは、物体の各部分の距離、量などの相対的な比率のことをいいます。人体のプロポーションでは、各分節、部分の占める比率から、理想的な美しさの基準を定めます。

人間の形態美は、最良の健康と一致する。

人間の体格や体型は、個人差が著しく、美しい体型の議論は、古代ギリシャから現在に至るまで、芸術家や美学者の間で行われ、その主張するところによって、いろいろな形式や基準が決められています。ミロ島から発見されたビーナス像は、そのプロポーションから人体美の典型とされています。人間の形態美は、最良の健康と一致するといいます。美しい理想的な体型は、欠陥なく、発育、栄養、生活様式、疾病、衣服などにも配慮がなされてはじめて完成されます。身長は頭部・顔面の長さの8倍、手掌・手指の長さの9倍、足底の長さの7倍であることが望ましく、いわゆる8頭身が理想となっています。

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