関節包の構造特性

関節運動における組織抵抗寄与率をみると、関節包は骨格筋に次ぐ大きさであると言われており、このことからも拘縮の主要因となる組織であることが容易に考えられます。関節の不動期間が1ヶ月以上に及ぶと関節包が拘縮の責任病巣の中心になると考えられ、このような関節包の変化に由来した拘縮、関節性拘縮は関節包の伸張性低下によって生じるものになります。

関節に安定性を与える関節包

関節包は、関節腔を形成するとともに、関節運動の方向を制限することにより関節に安定性を与えています。関節包は骨膜から連続して関節全体を覆う構造となっており、内層の滑膜と外層の線維膜に分けられます。滑膜の表層は2〜3層の滑膜細胞や細胞間物質から構成されており、滑膜内膜とも呼ばれます。また、その外側は滑膜内膜の滑膜細胞層を裏打ちするように結合組織が存在し、滑膜下層と呼ばれます。滑膜下層には毛細血管やリンパ管に富んでおり、神経終末も存在します。

滑膜細胞の働き

滑膜細胞は、一般にその形態からA細胞とB細胞に分けられ、A細胞は細胞内構造と機能がマクロファージと類似しています。つまり、A細胞は貪食能を有しており、代謝産物などの消化の役割を果たすことから関節内浄化作用に関与するとされています。また、B細胞は線維芽細胞に類似しており、滑液の構成成分であるヒアルロン酸はこの細胞で産生され、そのほかに炎症性サイトカインやコラーゲン分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼなどの分泌も認められています。さらに、滑膜細胞間にはヒアルロン酸や糖タンパク質、コラーゲン線維などが存在しますが、この部位に存在するコラーゲン線維はタイプIIIおよびタイプVIであること知られています。しかし、コラーゲン線維の量は少なく、存在するコラーゲン線維は細く、線維束を作ることは少ないと言われていますが、これはB細胞からのコラーゲン産生とMMP分泌によりコラーゲン線維の量が調節されているためで、コラーゲン線維の過剰沈着が防止されています。

疎性結合組織、線維性結合組織、脂肪組織

一方、滑膜下層は構成する組織により疎性結合組織、線維性結合組織、脂肪組織に分けられ、同一の関節包であってもその部位によって複数の組織が存在することがあります。例えば、ヒトの肩関節包の前方関節包の内側部と滑液包周囲は疎性型ですが、その他の部位は線維型であると言われています。最も外層にある線維膜は強靭な線維性結合組織で、端は骨端部において骨膜に移行しており、関節の安定性に寄与しています。滑膜の外側に存在する線維膜の主要構成成分はタイプIコラーゲンであり、一般に線維膜の厚さとコラーゲン線維束の走行方向は、それにかかるストレスに依存しています。すなわち、線維膜にかかるストレスが大きくなると厚さは増し、線維束の走行方向は関節運動の方向と一致します。

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