舌骨の機能的考察

ヒトの頸部は、主要な血管、神経をはじめ、気道・食道、甲状腺やリンパ腺などの臓器を内蔵しているにも関わらず、魚類や両生類に比べ、視野や運動自由度の拡大のために細く進化してきました。
人体の各部位の臓器を取り巻く構造を考えると、頭部は頭蓋によって、胸郭は胸骨・胸椎・肋骨・鎖骨によって、腹部は腰椎・仙骨・寛骨が筋の付着部位を提供して、内臓保護に役割を担っていますが、頸部は、横突起の短い頸椎にその役割が委ねられています。

舌骨を指標とした評価

頸部の筋の付着が頸椎以外に舌骨にも集束していることを考えると、頸部内臓を保護する役割の一端を舌骨が担っているのではないかと考えられます。
また、気道と食道の分岐が頸部にあるため、頸部の状態は呼吸・嚥下に関係があることが示唆されます。

呼吸時の空気は、鼻腔または口腔から咽頭、喉頭、気道、気管支、肺胞へと続きます。咽頭以降のこの経路は頭蓋底と下顎骨、舌骨、甲状軟骨から始まり、胸骨、胸腔内の臓器、線維性心膜に付着する頸筋膜に覆われた構造をなしています。また、呼吸時の圧力変化が横隔膜の位置に相関しているのであれば、胸腔内は頸筋膜に仕切られた間隙であるため、横隔膜に連動した頸筋膜の弾性が、胸腔内の圧力変化を反映していると考えられます。

つまり、呼吸時に頸筋膜が付着する各組織は横隔膜と連動し、浮遊骨格である舌骨は吸気で下制、呼気が挙上します。さらに舌骨の変位や可動性の欠如は、空気の流入経路に制限や圧力変化の障害をもたらすと考えられ、舌骨が呼吸状態の指標となるかもしれません。

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