エネルギー源の糖質

動いているとき、考えているとき、そして寝ているときも、生きている限りからだは常にエネルギーを消費し続けています。このエネルギー源になるのが、まず糖質。二糖類以上の糖質の多くは消化器官で分解されてぶどう糖に変わり、全身の細胞で使われます。もちろん、脂質も、そしてたんぱく質もエネルギー源として使われます。しかし真っ先に使われるのがぶどう糖なのです。

エネルギー源であるブドウ糖

ぶどう糖は生命維持に欠かせません。脳はエネルギー源の多くをぶどう糖に頼っていますし、全身の細胞に酸素を届ける血液中の赤血球は、ぶどう糖しか利用できないんです。消化吸収されたぶどう糖は肝臓に入り、一部は、「グリコーゲン」と呼ぶ、ぶどう糖がいくつもつながった形となり、蓄えられます。

肝臓を通過したぶどう糖は全身に運ばれて使われますが、筋肉でもグリコーゲンに変わります。肝臓には約100g、筋肉には約400gのグリコーゲンを蓄えておくことができます。それでも余った分は、脂肪細胞や肝臓で中性脂肪として蓄えられます。脂肪細胞への貯蔵量には、基本的に上限がありません。だから食べ過ぎてしまうと、太るんですね。このような、「糖を蓄えよ!」という指令は「インスリン」というホルモンが出しています。

生きていくうえで絶え間なく必要なエネルギーを補給するために、肝臓は毎分1.8~2.2㎎/kg(体重)のブドウ糖を血中に放出し続けています。動いたり考えたりするためにプラスアルファでエネルギーが必要になったけれど、血中に十分なぶどう糖がない。そんなときも肝臓は、蓄えていたグリコーゲンをぶどう糖に戻すほか、アミノ酸や、脂質に含まれるグリセロールを原料にぶどう糖を作り出すこともできるんです。

ぶどう糖には“代役”がいないのか

そんな大切なエネルギー源、ぶどう糖には“代役”がいないのか?
それでは困るので、肝臓では、中性脂肪が分解されてできた脂肪酸から「ケトン体」という物質を作り出します。筋肉も脳も、エネルギー源としてケトン体を利用することができます。

じゃあ逆に、ぶどう糖がなくても、ケトン体があればそれでいいか。
この場合、ケトン体は酸性物質なので、増えすぎると血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」を起こします。重症の場合、全身のさまざまな機能が低下します。やはり基本のエネルギー源はぶどう糖で、ケトン体はピンチヒッターといったところでしょうか。

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