感情についての理論

私たちの日常生活は、いつも感情と関わりあっています。常にさまざまな感情が生じていますが、さらにその生じた感情によって新たな行動が生み出される場合もあります。
恐怖を感じたらそこから逃げようとするのはその一例です。

ジェームズ=ランゲ説

感情が生じる過程に関しては、古くから多様な考え方が提唱されています。感情体験に関する古典的で有名なモデルとして、ジェームズ=ランゲ説とキャノン=バード説という2つの考えかたがあります。

ジェームズ=ランゲ説は、身体的生理的変化が感情体験を引き起こすと考えるものです。

何らかの刺激に出会ったときに、それが大脳皮質に作用した内臓器官や骨格筋に身体的生理的変化をもたらし、さらにその変化が大脳皮質に伝わって知覚されることにより、感情体験が生じるというものです。

内臓や骨格筋といった末梢器官の変化を知覚することによって感情体験がもたらされると考えていることから、末梢起源説とも呼ばれます。

キャノン=バード説

これに対して、キャノン=バード説は、脳の視床下部が重要な役割を果たしていると考えるものです。
刺激の情報が視床に伝わってこれを興奮させ、その情報が末梢器官と大脳皮質に伝わることによって、末梢器官(内臓や骨格筋)の身体的生理的変化と大脳皮質での感情の体験が独立に生じるというものです。
この考え方は、内臓と中枢神経系を切り離して考えられた結果であり、中枢神経系の働きを重視するため、中枢起源説とも呼ばれます。

感情体験には、生理的要因と認知的要因の両方が関わっていると主張したのがシャクターの2要因説です。
それによると、まず、何らかの刺激に出会うことによって、生理的な覚醒状態が生じます。
この生理的覚醒は感情の必要条件であり、これがないと感情が生じません。しかし、この覚醒状態の生起だけで、感情が決まるのではありません。

感情の種類は、そのときの刺激の認知にもとづいてなされる評価によって決まります。
たとえば、生理的覚醒が生じた上で、楽しい状況であると認知し評価した場合に、楽しい感情を体験するのだと考えられています。

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