基礎代謝と運動

基礎代謝とは、人間が生命維持するために最低限必要なエネルギー量のことを言います。基礎代謝では心臓を中心とする呼吸循環系は、全身の酸素を供給するのにエネルギーを消費していますが、脳神経系はいわゆる精神活動を行っていないので、エネルギー消費は少ないです。また身体自体は動いていないので、筋肉系はあまりエネルギーを消費していませんが、実は基礎代謝全体の約4割は筋肉で消費されています。

身体活動レベルとは、その人が「活動的な生活を送っているかどうか」の目安。

筋肉系は主に体温維持のためにエネルギーを消費すると考えられていますが、体温維持には体表面積が関わるので、基礎代謝量は、体表面積・除脂肪体重と相関が高いともいえます。一方、身体活動レベルとは、その人が「活動的な生活を送っているかどうか」の目安です。それは、仕事や日常生活の過ごし方で、「低い」「ふつう」「高い」の3段階に分けられており、それぞれ1日の消費量は、基礎代謝の1.5倍(1.4~1.6倍)1.75倍(1.6~1.9倍)2倍(1.9~2.2倍)とされています。つまり、活動的でない人の場合は、1日の消費エネルギーの約7割が基礎代謝であり、そのうち約4割が筋肉で消費されるので、計算上では「筋肉の基礎代謝」は1日の消費量の約3割(0.7×0.4)です。

筋力がついて、身体活動レベルが上がることが重要。

適切なトレーニングと栄養管理があっても筋肉量を1㎏増量するのは容易ではありませんが、仮に筋肉量を10%増やしたとしても、エネルギー消費量は約3%(0.7×0.4×0.1)増えるだけです。それに比べて、身体活動レベルを「低い」から「ふつう」に上げることで、エネルギー消費量は約15%増え「高い」までに上げれば約30%もエネルギー消費が増えるのです。このようにトレーニングによって体力を高め、身体活動レベルを高くすることは、減量につながると言えます。

「筋力トレーニングを行うと、筋肉量が増え、基礎代謝が上がるので、効果的に減量ができる」という説もありますが、これは「基礎代謝」が上がるからだけではなく、筋力がついて、結果として身体活動レベルが上がるから減量できるということでしょう。やはり活動的になれない人は正しい減量は難しいといえるでしょう。

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