呼吸運動の観察と触察

近年、呼吸運動の機能評価が、スポーツパフォーマンスにおいても非常に重要視される傾向にあります。
そこで今回は呼吸運動の評価について考えてみます。

肋骨の動きは大きくわけて3つに分類される。

呼吸を評価するうえで大事なのが、胸郭の動きです。
胸郭の動きは「胸椎」と「肋骨」、「胸骨」との複雑な動作で起こります。
肋骨の動きは呼吸には不可欠です。
その中で、肋骨の動きは大きくわけて3つに分類されます。
上方肋骨は上下に動き、これをポンプハンドル運動といいます。
同様に中間の肋骨はバケツハンドル運動を、下方の二対の肋骨(浮遊肋)はキャリパーのように動きます。

臨床で呼吸の評価をするとき、その肋骨の動きの対称性を評価していきます。
肋骨の動きが対称でなかったら、肋骨の動きが何処かで制限されています。
その次に動きが悪い方の肋骨群に評価を絞り、吸気と呼気のどちらに問題があるかの判断をします。
息を吸うとき体幹は膨らみ、息をはくともとに戻ります。
呼吸不全は痛みが伴わないことがほとんどなので触診と視診で評価をしていくことが重要に成ります。

運動の観察と触診が必須。

ポンプハンドル運動の観察と触診は対象者の首の両方の付根に治療者の手をおいて、その動きの観察をします。
息を吸ったとき、手は天井方向に動き、息をはいた時は床方向に動きます。
バケツハンドル運動の観察と触診では、手を体幹の横に置きバケツハンドルの動きの触診をします。
息を吸ったとき手が側方そして上方に動くのを評価していきます。
わかりにくいときは、中指を肋骨間の側方部分に引っ掛けて呼吸と共に動く指の動きを観察するとみやすいかもしれません。
キャリパー運動は肋骨最後2対の動きです。
最後二対の肋骨は胸骨(前方)についてないので、治療者の手を背中下方又は、骨盤上方に置き肋骨のキャリパーモーションを確認していきます。

胸郭を構成する動きの悪い関節1つ1つに対しアプローチする。

大まかな動きを観察触診したあと、その中で動きが止まっているか又は動きが少ない肋骨を1番肋骨から12番まで一つずつ順番に触診をして特定することも重要です。
その肋骨をキーリブと呼び、動きの悪い肋骨が特定されたら、その動きを向上させるための手技療法・エクササイズに入ります。
動きの悪い肋骨周りの筋肉等の、軟部組織モビライゼーションを行い、軟部組織いわゆる筋膜や関節包のリリースしたり、マッスルエネルジーテクニークで肋骨の可動域を向上させたり、様々な手技療法で動作不全を改善していきます。
このように胸郭を構成する動きの悪い関節1つ1つに対しアプローチしていき、最終的には全体の動きが出ているかを再評価していくことが求められます。

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