股関節関節面の適合

股関節関節面の適合は多くの要素において強化されています。例えば重力もそれに一役買っています。肩関節が重力により脱臼しがちであるのに対して、股関節は直立位において、重力により補助されています。

股関節関節面の適合

寛骨臼の屋根が大腿骨頭を覆う範囲で大腿骨頭は重力と同じ力で寛骨臼へ押し付けられます。寛骨臼は半球より小さく、そのため、大腿骨頭は半球状の寛骨臼の骨性部分によって機械的に保持されることはないため、これら2つの表面は本当に適合しているとは言えません。
しかし、寛骨臼唇は寛骨臼腔が半球状になるように寛骨臼を広くかつ深くしています。

したがって、股関節は大腿骨頭を保持している線維性関節唇により正しい臼状関節を呈するようになります。
この関節唇による適合性は、大腿骨頭を取り巻く関節包の靭帯によりさらに強化されます。

関節面の適合

気圧も関節面の適合を維持するのに重要な役割を果たします。ある研究では、正常な股関節において、周囲のすべての筋肉・靭帯・関節包を取り除いて関節面だけにした場合、骨頭を逸脱させるためには22kgの牽引が必要であるということが明らかになっています。さらに、靭帯や関節周囲筋も関節の機能維持に重要な役割を果たしています。それらは互いにバランスが取れたものであることが伺えます。
例えば、筋は後方に集中し、前方では希薄なものとなっていますが、靭帯はその分強力になっています。

また、靭帯の働きは股関節の肢位によっても変化します。直立位あるいは伸展位では、靭帯は緊張し適合を確実にし、屈曲位では靭帯は弛緩し、大腿骨頭と寛骨臼は強力には適合していません。そのため、屈曲位は靭帯の緩みのために、不安定な肢位であると言えます。脚を組んで座るときのように、屈曲に内転を伴った場合は、大腿骨頭長軸に沿って加えられる比較的緩やかな力によって寛骨臼後縁の骨折を合併したり、ダッシュボード損傷のような股関節の後方脱臼を生じることがあります。

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