金縛りと睡眠障害

金縛りは心霊現象の一つとして語られることの多いもので、寝ていたら突然身体が動かなくなった、見えるはずのないものが見えたなど、奇妙な体験が聞かれるこの現象は、実は睡眠障害の一つであるとされています。

金縛り=睡眠麻痺

金縛りは、医学的には睡眠麻痺とよばれ、日常で経験するノンレム睡眠とレム睡眠の2種類の睡眠サイクルに関係して起こります。ヒトは寝ている間、ノンレム睡眠とレム睡眠という睡眠を交互に経験しています。通常は、眠り始めると、脳も身体も休められた状態の深い眠りノンレム睡眠が訪れます。そしてそれから約90分後、身体は休んだ状態であるのに脳が活発に働く浅い眠りレム睡眠が訪れます。

このようにして、ノンレム睡眠とレム睡眠が約90分おきに交代で出現します。

しかし、睡眠障害やストレス、不規則な生活習慣などによって睡眠を取る時間が不規則になってくると、この順番がくずれ、眠り始めにレム睡眠がやってくることがあります。
入眠時にやってくるレム睡眠中に経験する症状が睡眠麻痺となります。

ストーリー性のある夢

レム睡眠ではストーリー性のある夢を見ます。
レム睡眠時には、橋からアセチルコリンが分泌され、大脳の視覚連合野や、大脳辺縁系が強く活性化され、感情や視覚情報に富んだ夢をみるという仕組みです。また、レム睡眠時には身体が思うように動きません。
これは、延髄の神経細胞が途中の神経細胞を介して、脊髄前角の運動ニューロンを抑制するためです。

通常レム睡眠は深いノンレム睡眠に引き続いて起こるため、前頭葉は抑制されており、麻痺状態を認識できず、夢の記憶もおぼろげです。しかし、疲れているときなど、浅い眠りの状態でレム睡眠を経験することがあります。このときは夢をリアルなものに感じたり、身体が動かせないことを意識しやすくなっています。これが、見えるはずのないものが見えたや、身体が動かなくなったという不思議な現象の正体となります。

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