女性アスリートのACL損傷について考える。

今日はACL(前十字靭帯)断裂についてのお話です。
ACLの断裂が起きるのは、統計的にみると女性アスリートのほうが男性アスリートに比べて4倍から6倍も多いというのは、スポーツ医学会ではもはや常識かと思います。
一度ACLを断裂すると、その後手術で再建しリハビリを行うことになります。
あるいは手術せずにリハビリで筋の強化を図ることで維持することもあるでしょう。

ACLの怪我から機能回復をしても20年位内にはその患者はほぼ確実変形性膝関節症になるとのデータも。

しかしながらある研究によると、どちらにしても変形性膝関節症(OA)になる可能性が健康な人の10倍も高まるとも言われています。
また、ACLの怪我から機能回復をしても20年位内にはその患者はほぼ確実変形性膝関節症になり、慢性的な膝の痛みを抱えることになるとも論文には書かれています。
つまりACLの損傷は何かしら慢性的な膝の痛みに直結してしまうということが記されているのです。

これには幾つかの説があります。
①ホルモンの影響
女性ホルモンの影響で女性は男性に比べて身体が柔軟なため、関節の可動域が大きく、安定性に欠けるが故に怪我に繋がり易いのではないか。
②解剖学的な理由
典型的なもので言うと、女性は男性に比べて骨盤が大きく、Q-angleが大きいことがあげられる。故に、動きの中で生まれる膝にかかる捻れのストレスも大きいのではないか。
③神経筋機能の問題
男性のほうが自分の身体を思い通りに動かすことができる。例えば女性に多い着地時の内股はACLの断裂と密接な関係があると言われています。

ACL断裂の怪我発生頻度における男女差は思春期前には存在しない。

これらを考えると男女差のがひとつの問題に挙げられますが、論文を読むと興味深いことに、前述したACL断裂の怪我発生頻度における男女差は思春期前には存在しないようなのです。
どうやら思春期を境に、男女の身体がそれぞれ変化していくにつれ、女性の怪我のリスクが男性のそれと比較して上昇していくことが分かってきています。
男性ホルモンと女性ホルモンがそれぞれ活発に分泌され体つきも変化していく中で、男性が身体能力が伸びていくのに比べ、女性は身体の変化についていくのに苦労し、慣れ切らないままオトナになる人が多いということなのかもしれません。
丁度その時期に女性アスリートのバイオメカニクス的な変化が見られ、ACL断裂の頻度がピークになるのも偶然ではないのかもしれません。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

閉じる