関節拘縮と浮腫

手指などの末梢関節における拘縮の発生には、浮腫の存在が少なからず影響すると言われています。しかしより重篤な拘縮へ進行した後は浮腫の影響はなくなるとされ、つまり、浮腫は拘縮の発生初期段階で何らかの影響を及ぼしている可能性が高いと考えられます。

外傷後の炎症期

外傷後の炎症期は、末梢血管の透過性亢進により傷害部周囲は組織液が貯留し、同時に好中球やマクロファージ、線維芽細胞などの細胞浸潤もみられ、これらにより結合組織の増生が惹起されます。また、このような状態が継続するとその周囲軟部組織は低栄養、低酸素に強いられ、壊死を生じ、これを貪食する目的で細胞浸潤も活発となります。

特に、筋線維はこの影響を受けやすく、再生が困難な場合は消化された筋線維を置換するように結合組織の増生がみられます。このように、浮腫の発生は軟部組織の器質的変化を生み出すため、関節可動域制限の発生に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

浮腫は関節可動域制限に対して直接的にも間接的にも影響を及ぼす

一方、炎症期は必ずといっていいほど痛みを伴い、マクロファージなどから産生される炎症性サイトカインは痛みの増強を生みます。つまり、浮腫のみでは関節の不動は惹起されにくいものの、痛みが共存することで関節の不動状態が継続されると思われます。また、このことにより筋ポンプ作用が減弱すると浮腫の助長に繋がり、いわゆる悪循環が形成されることになります。
したがって、浮腫は関節可動域制限に対して直接的にも間接的にも影響を及ぼす可能性があります。

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