非アルコール性脂肪肝(NAFLD)を考える

御客様とお話していると「油ものが好き」って方は結構いるような気がします。しかしながら、過剰なエネルギー摂取が肝臓をフォアグラ状態、いわゆる脂肪肝にしてしまうのは有名な話ですよね。アルコールが好きな方はアルコールで脂肪肝になってしまうことも多いですが、今回はアルコールを飲まないのに脂肪肝になってしまう非アルコール性脂肪肝(NAFLD)について考えます。

NAFLDならびにNASHに対する効果的な予防方法や改善方法の提示が求められています。

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は、インスリン抵抗性の危険因子であることが示されており、さらに日本人中年男性を対象とした研究などからは2型糖尿病の危険因子であると報告されています。これは現在臨床的に重要な疾患として認識されているんです。メタボ患者、肥満者は脂肪肝を発症している場合が多いですが、標準体重でも脂肪肝を発症している場合もあり、その場合将来メタボリックシンドロームを発症する可能性が高くなることが報告もあります。

日本におけるNAFLDの有病率は年々増加傾向にあり、1994年では12.9%であったのに対し10年後には34.7%にまで増加したことが報告されています。
また、NAFLD罹患者の約10%が肝硬変や肝癌へと進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症すると言われており、NAFLDならびにNASHに対する効果的な予防方法や改善方法の提示が求められています。

食事と脂肪肝の関係性

食事が関係するNAFLDの原因として、砂糖過剰摂取、脂肪過剰摂取があげられます。ある報告によると、砂糖過剰摂取による脂肪肝のケースでは肝臓での「ステロール調節配列結合タンパク質1c(SREBP-1c)」活性化が主因となり、高脂肪食(HFD)による脂肪肝では「ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ( PPARγ)」活性化が主因であることが報告され、その原因には違いがあることが報告されていますが、予防・改善方法としての報告ではどちらもカロリー制限・運動処方が有効であるとしており、結局のところ、「食事管理と運動」が唯一の解決法になってくることがわかっています。

脂肪肝に対する運動の効果というものが次々と発表されています。

NAFLDに対する一般的な予防・治療法としてはカロリー制限・運動が知られているといいましたが、実際に様々な報告により肝臓中の脂肪が運動によって減少することが示唆されています。例えばマウスを用いた研究では、高脂肪食により誘発された脂肪肝が運動負荷によって改善されることが報告されていたり、肝臓トリアシルグリセロール量は運動負荷期間が長いほど増加抑制されると同時に運動時間帯による顕著な違いは見られなかった旨が報告されています。

また運動をすることで肝臓では、高脂肪食摂取による脂肪肝発症で発現増加する「ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ」および標的遺伝子の発現が運動負荷期間にかかわらず有意に増加抑制されたことも報告されており、もちろん継続したほうがいい運動ではありますが、少しの運動でも効果があることを示しています。他にも、運動を行うことで新規脂肪酸合成に関わる「ステロール調節配列結合タンパク質1c」の標的遺伝子は長期運動負荷で増加抑制が見られたことが報告されるなど、脂肪肝に対する運動の効果というものが次々と発表されています。

「カロリー制限」はやはり必要だと思いますが、現実にはどうしても好きなものは食べたいという方が多いので、「食べない」よりも「食べた分だけ運動しましょう」というのがやはり重要ということ。
ぜひ積極的な運動参加をしていきましょう!

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