「コンディション能力」と「コーディネーション能力」
人間発達の概念では、人格形成とともに身体の発達も含めるのが現在の考え方ではよくみられるようになってきました。いわゆる体力的要素の発達も評価していくことが求められてきているということですが、ここでいう「体力」というとどちらかと言えば、運動を伴う行動体力の中でも、筋力、持久力、パワー、スピード などを連想しがちではないでしょうか?一般的に運動して鍛えようというのはこのようなものが多いと思いますし、これらは総称して「コンディション能力」といわれる範疇のものになります。
人間発達におけるコーディネーション能力を高める運動は、「スポーツを楽しめる器用な身体に育てること」に通じるとされ、「コンディション能力」を高める体力づくりに偏りがちな傾向を是正するためにも非常に注目されている考え方になります。
しかしながら、体力的要素のもう一つ大事な分野として「コンディション能力」と別にして考える必要のある行動体力に、「コーディネーション能力」といわれるものがあり、これがいわゆる「動作の協応能力」や「調整能力」を指しているものになります。人間発達におけるコーディネーション能力を高める運動は、「スポーツを楽しめる器用な身体に育てること」に通じるとされ、「コンディション能力」を高める体力づくりに偏りがちな傾向を是正するためにも非常に注目されている考え方になります。この「コーディネーション能力」とは、神経系による運動の調整能力をコーディネーション(協調性、協応性)能力と定義され、 コーディネーション能力は「神経系が知覚情報に応じて動員する筋を組み合わせ、それらの出力を適切に制御する力」、つまり身体動作に伴ういくつかの神経や筋肉群の同時的・共同的使用の機能であり、随意運動を目的に合わせて調整していく能力と理解されています。体力的要素ではなく、感覚モダリティがもたらす情報を統合し、うまく調整・制御すると能力を「コーディネーション能力」とよび、その能力をトレーニングするのがコーディネーショントレーニングと考えるのがいいかと思います。
ヒトの動きの巧みさに隠されているのが、「コーディネーション能力」であり、動きやパフォーマンスを合理的かつ効果的に発揮するのに重要な能力であると考えられています。
運動学の先駆者的存在のベルンシュタインは、「巧みさ」とはあらゆる状況ならびに条件下において、解決策となる運動を見つけることであると同時に制御の機能であり、その実現には中枢神経系が最大の役割を果たすと述べていて、またシュナーベルによると、コーディネーション運動は、筋―神経系の協調性機能を開発・改善するもので、身体運動や動作習得を円滑に行なうために、神経や筋肉群を同時的・共同的使用を可能にする運動と定義されてもいます。
ここでは、コーディネーション能力とは、『運動学的な五感といわれる「知覚」、「聴覚」、「平衡感覚」、「皮膚感覚」、「筋感覚」などの感覚受容器からの情報をスムースに収集し、運動効果器に指令を出すといった一連の運動プロセスを制御する能力』と紹介されていて、つまりは素早く動いたりバランスをとるのが上手であったりリズムに合わせて体を動かすことが得意だったり・・・とヒトの動きの巧みさに隠されているのが、この「コーディネーション能力」であり、動きやパフォーマンスを合理的かつ効果的に発揮するのに重要な能力であると考えられています。同じ行動体力要素でも「コーディネーション能力」と「コンディション能力」は大きく違うことを理解した上で、運動を考えていくということが重要ですね!
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