追突・衝突と頭頸部・体幹の加速

自動車の運転中や乗車中の追突・衝突事故は、頸部の重大な損傷を招く恐れがあります。

頚椎における最も一般的な損傷は、むち打ち損傷ですが、このむち打ちの主要な原因には、衝撃だけではなく、体幹部と頭頸部に加わる加速度が挙げられます。

例えば停止している車が追突された場合、車と車内にある物体は前方へ加速されますが、このとき体幹に比べ、頭部は遅れて加速するため、後方に残って過伸展され、頸部前方部の伸張、後方部への圧縮負荷がかかります。

それと同時に体幹は頭部方向へ起き上がり下位頸椎に負荷がかかります。

逆に静止した物体に正面から衝突した場合、車は急激に停止しますが、頭部と頸部は前方へ加速します。

この衝撃によって頸部が静止する前に頭頸部の跳ね返り運動が引き起こされ、頸椎の損傷を生み出します。

また、むち打ち損傷では頭部回旋が伴い、翼状靭帯や歯尖靭帯、横靭帯の断裂を招きます。

こうした解剖学的変化は、自動車事故後の頭痛や頸部痛、腕などの放散痛に繋がります。

さらに最徐行中の衝突であっても頭頸部への負荷が十分に発生することがわかっており、衝撃の強さにかかわらず、頭頸部の状態には注意が必要となるでしょう。

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