アフォーダンスと意図と用途

動作を遂行する上で物体からの視覚刺激はその行為を決定づける重要な手がかりとなります。

例えば、地面がぬかるんでいて座れないような場所でもそこに椅子があれば座れるというように、物体を見ることが誘引となって、それが観察者に行為の機会を提供します。

アメリカの生態心理学者ギブソンはこうした環境が個体に提供する行為の機会、そしてその関係性をアフォーダンスという概念によって提唱しました。

物体はたいてい複数のアフォーダンスをもっており、さまざまな行為の可能性を秘めています。

その中で最適な行為は、物体の用途と個体の意図の両方の情報をもって選択されます。

例えば、コーヒーカップには取っ手、飲み口、本体とがありますが、個体がカップをカップと認識し、通常の使い方で使おうとすると、取っ手を掴みます。

しかし、カップをどけようとする場合や誰かに手渡そうとする場合は、取っ手ではなく本体や縁を持つと推測されます。

行動の選択には前頭前野から下頭頂小葉への入力が関与していると考えられています。

通常と異なる使用法が意図されたときには、前頭前野からの入力が標準的な使用法に優先して、その意図に合う行為を選択します。

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