休息期の食事とタンパク質吸収効率
適切な時間の食事はタンパク質の吸収を助けると言われています。
しかし、朝起きて夜に寝るという一般的なリズムで生活している人にとって、本来休息しているであろうタイミングでの食事はタンパク質吸収を妨げるものとなるかもしれません。
これは以下の一連のサイクルによって説明されます。
食物として摂取したタンパク質の約7割は、ジペプチド、トリペプチドといった短鎖ペプチドとして吸収されます。
この短鎖ペプチドの吸収には、PepT1というトランスポーターが主要な役割を果たしています。
食物を摂取すると、胆嚢が弛緩し胆汁が分泌されます。
胆汁酸の役割は、脂肪を乳化・分解して、その吸収を助けることにあり、胆汁酸のほとんどは小腸に再吸収されます。
再吸収された胆汁酸は、Slc15a1遺伝子の発現を抑制します。
胆汁酸のピークは、活動期であり休息期において最も低い値を示します。
このことからSlc15a1遺伝子は休息期で最も発現し、そしてそれに伴い徐々にPepT1の発現が増加し、PepT1は摂食を行う活動期直前にピークに達します。
そしてまた摂食によって分泌された胆汁酸によってSlc15a1遺伝子は抑制され、PepT1は低下します。
つまり、休息期にPepT1の増加は、活動期のペプチド吸収効率を良くするための準備期間にあたるものだと推測されます。
この一連のリズムは規則的なパターンからなり、これは絶食や休息期の摂食によって容易に変化してしまいます。
これらのことから、タンパク質吸収の効率は、食事のタイミングによって容易に変化しうるものだと考えられています。
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