ホルモンと靭帯の関連性
ホルモンは身体のいたるところで大きな役割を果たしていますが、靭帯のような結合組織などもこうしたホルモンの影響を受けます。
下垂体の副腎皮質刺激ホルモンや副腎皮質のコルチゾンは、結合組織の細胞外基質のグリコサミノグリカン含有量を低下させ、コルチゾールのレベルが下がると、コラーゲンの合成が減少します。
これらにより結合組織の強度は低下してしまいます。
また、妊娠中に産生されるホルモンであるリラキシンは骨盤の靭帯を弛緩させ、またその柔軟性を増加させます。
女性ホルモンであるエストロゲンもまた靭帯の性質に変化を及ぼすことが示唆されています。
こうした性質や男性より女性のACL損傷率が高いことから、一部ではエストロゲンは靭帯強度に関与するのではないかと考えられています。
しかし、靭帯の性質の変化やコラーゲン合成の低下は起こりえるものの、それによりACLの損傷率が増加するという関連性は報告されていません。
さらにエストロゲン治療によってACLの性質にほとんど変化が起こらなかったことから、現状ではACL損傷には関与しないという説が有力視されています。
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