股関節後方の軟部組織過緊張について

股関節後方の筋および軟部組織の過緊張は、通称「バットクリッピング」と呼ばれています。

これは、大腿骨頭の前方偏位(屈曲や内旋運動において、大腿骨頭の回転運動時に起こる後方移動の制限)をきたし、屈曲制限および内旋制限をもたらします。

通常、屈曲制限には大腿骨寛骨臼インピンジメントによる詰まり感を伴うのが特徴です。

股関節を屈曲していく際に、股関節の付け根に詰まった感じを訴える人の多くはこのケースにあたると考えられています。

また、内旋制限については見かけ上の内旋角度に制限がなくても、大腿骨頭の後方移動の制限により、内旋に伴う大転子の前方移動量が増大する場合もあります。

このバッドグリッピングは、骨盤アライメントと密接に関連して生じます。

この為、バットグリッピングによる股関節屈曲可動域制限は、骨盤アライメントの改善が直接的に効果をもたらす可能性があります。

一般に正常な骨盤では、仙骨前傾は股関節後方の梨状筋や仙結節靭帯、仙棘靭帯などを緊張させます。

逆に仙骨後傾はこれらの軟部組織を弛緩させます。

したがって、こうした骨盤アライメント異常由来の股関節可動域制限は、仙骨後傾へと誘導するプログラムで改善する可能性が考えられます。

また、仙腸関節動揺性と大殿筋の緊張伝達機能に左右差が存在すると、尾骨は大殿筋緊張の伝達異常がある側から遠ざかるように偏位し、それに抵抗する梨状筋の緊張が高まると推測されています。

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